新建設コンサルタント株式会社

Construction column

建設コラム

ゼネコンを辞めたいと思う瞬間とは?
辞める前に確認しておくべきこと

 

本記事は、ゼネコン従事者が工事監督業務に疲れ、もう辞めたいと感じる瞬間を纏めました。

現在、ゼネコンに従事している人は、共感を得ると同時に辞める前に確認しておくべきこと、注意点や留意点を学ぶことができます。

これからゼネコンを目指す人にとっては、本記事に記載されているネガティブな側面を受け入れられるかが確認できます。

 

 

ゼネコンとは

本記事は、ゼネコン従事者の他にもこれからゼネコンを目指す人にも向けた内容のため、まずは簡単に「ゼネコン」について解説します。

ゼネコンとは、ゼネラルコントラクター(General Contractor)の略称であり、「総合建設業者」という意味で用いられます。

具体的には、大規模(土木・建築) 建設工事に特化していて、自社で設計・施工・研究の建設に関わる全事業が実施可能な企業を指します。

つまり、建設業で一般的に知名度の高い、国土交通省やネクスコなどは発注者とする一方で、ゼネコンとは受注者であり、大手の建設会社が該当します。

  

ゼネコン

  

  

ゼネコンを辞めたいと思う瞬間6選 

本題である「ゼネコンを辞めたいと思う瞬間」を以下の6テーマに分けて解説します。 

  1. 3Kな職場 
  2. 残業時間が100時間以上 
  3. 休日出勤の定着化 
  4. 人間関係、パワハラの横行 
  5. 長期の地方生活 
  6. 転勤が多い 

 

ゼネコンを辞めたいと思う瞬間

  

  

①3Kな職場 

ゼネコンの職場は、昔から肉体労働が主の業務のため、体力が求められ、衛生面や安全面で問題のある現場が多かったことから、「きつい・汚い・危険」、つまり3Kな職場と揶揄されてきました。

そのため新社会人になったばかりの頃は全力を仕事に注ぐことができていても、結婚や子育てなど人生の段階が異なることで家族との時間を優先するケースも考えられます。

単純に、体力的にきつい仕事であればカバーすることができても、汚い、危険といったともに生計を立てる家族にも大きく影響する場合、辞めたいと思う人が多いことが現状です。

  

一方、昨今では、国土交通省をはじめとした多くの関係機関から、人手不足解消のために3Kイメージの払拭活動が行われてきています。

具体的には、平成27年に国土交通省と日本経団連が新しく提唱した新3Kとして、「給料が良い・休暇が取れる・希望が持てる現場」を目指してゼネコンでも職場環境や待遇改善を図る取り組みを行っています。

  

②残業時間が100時間以上 

ゼネコン勤務は、他産業と比較すると労働時間が長く、残業時間で100時間を超えるケースもあります。

2023年10月30日のマイナビニュースでは、「ゼネコン大手5社の残業時間は業界平均2倍超、2024年問題の対応状況は」という記事が出ている通り、ゼネコン大手5社の平均残業時間は、50.3時間で、全業界平均である23.4 時間の2倍以上という数字が注目されました。

 

ゼネコンでは一般的に現場で施工管理を行う工事監督業務が主たる業務です。

通常の勤務時間である8:00~17:00の現場が稼働している時間帯は、現場で協力会社(下請け企業)を監督、現場監理を実施するため、資料作成、設計業務、積算業務、成果品の作成などの書類業務は現場を閉めた後、17時以降に対応することが慢性化してしまうことが残業時間増加の主な原因です。

 

通常の勤務時間(8:00~17:00)に事務所に戻り書類業務を進めることも可能ですが、現場へは電話一本で呼び出されたり、纏まった時間を書類作業に充てることが困難なことが現状です。

つまり、そもそもで一人が抱える仕事量が多いことが問題なのです。 

 

残業時間

  

  

③休日出勤の定着化 

ゼネコンで工事監督業務を行う場合、基本的に土曜日は稼働日としているところが多いことが現状です。

週休二日を導入している国土交通省発注の都市部の建設現場がニュースに取り上げられる程、建設業界には、土曜日の稼働が定着化しています。 

 

その理由は、協力会社(下請け企業)は基本的に日雇いのため、出稼ぎとして見知らぬ土地で働いており、可能な限り仕事日を多く取りたいと思っていること。

その他にも、リースしている重機が高額のため、多くの時間を稼働してもらわないと損失(利益率の低下)となってしまうことなどが挙げられます。 

 

このように、協力会社(下請け企業)が出勤したがり、ゼネコン自身も利益確保のために現場を稼働させたいため、土曜日や祝日の出社が要求されます。

加えて、現場監理では通常、担当工種は自分一人でコントロールすることが多いため、担当工種の協力会社(下請け企業)が稼働する時に現場監督は休みを取りづらいという実情もあります。 

 

④人間関係、パワハラの横行 

ゼネコンは、業界的にも体育会系の人が多く、人間関係から辞めたいと考える人もいます。

職種柄、多くの関係者と協力して現場を進める必要があること、協力会社(下請け企業)に指示を出して動いてもらう立場にあることなどの要因から、体力に自信があり、積極的に会話に入っていけ、指示・命令ができる体育会系の人に適した仕事であるという傾向があります。 

 

また、業界全体としても古くから体育会系が多い傾向にあり、内定をもらう人も体育会系の側面を持った人が多いのです。

さらに、建設業界の男女比は10%未満というデータもあるほど女性割合が少ない業界のため、女性職員には注目が集まりやすい傾向にあります。

その結果、過度なコミュニケーションから干渉過多による人間関係の悪化、パワハラなどが発生しやすい環境にあるのです。 

 

加えて、現場勤務では、一般的に宿舎として同僚が同じ屋根の下で暮らします。

仕事場でも帰宅後も一緒に生活を行うため気疲れを起こしてしまう人も少なくありません。

このような環境から、人間関係に嫌気がさし、退職を考える人も少なくないことが実情です。 

 

人間関係

 

 

⑤長期の地方生活 

ゼネコンに就くと、多くは現場勤務となります。

ゼネコンで手がける工事案件は公共事業が多いことから、土木現場では、ダム・トンネル・橋・道路などが該当し、建築現場では、病院・学校・商業ビル・マンションなどが該当します。

上記例の通り、比較的、土木現場の多くは人里離れた地方部が現場になりやすいことから住居も現場近くの地方生活になりやすい傾向になります。 

 

特に新社会人の若手にとっては、初めての給料を自由に使いたいと思っても地方では買えるものが限られるケースがあります。

都内のように娯楽の施設にも限りがあるため、都会での生活を求めて退職を考える人もいます。

 

⑥転勤が多い 

上述の通り、ゼネコンは建設現場での勤務が一般的のため、工事現場が竣工(終了)する度に新しい現場へ移動することになります。

大型公共事業でも2~3年が多く、1~2年毎に移動するケースも少なくありません。

結婚、子育てに際し、住宅購入などをした場合であっても地方へ赴任を命じられるケースがあるため、辞めたいと考える人が多くなります。 

 

建設現場

 

具体的には、住宅を買った後は住宅ローンがあるため簡単に辞める決心ができないと判断され地方に赴任を命じられるケースがあっても多くの人は単身赴任を承諾する傾向にあります。

住宅を購入していない場合であっても、妻にとっても、コミュニティを新しくしたくないケース、子供の転校など様々な問題があります。

このような仕事とプライベートの両立を考えた結果、退職を検討する人も一定の割合存在します。 

 

 

辞める前に確認しておくべきこと 

最後に、辞める前に確認しておくべきことを解説します。

ゼネコンとは上述の通り、総合建設業者のため、比較的大きい企業が該当します。

そのため給料未払いや法律上の不正行為を行っている企業は多くないでしょう。

本記事ではそのような倫理的な理由を除いたケースにおいて、辞める前に確認すべき事項を説明します。

 

タイミング 

建設業界では、転職に際し、ゼネコンから地方に戻り公務員になるケースが比較的多い傾向にあります。

そのため、建設業界内での転職になるため、将来的に同業者と一緒に仕事をする機会が多いことが想定されます。

上記理由より、円満退職をした方が、将来、一緒に仕事をするときに関係性を築きやすいことが重要になるため転職のタイミングは余裕を持って連絡・相談・報告を行えることが理想です。 

 

スキルアップできるか 

ゼネコン勤務の人が転職を考えるとき、ステップアップ・業務幅を広げたいと考える人や、今の仕事では成長を感じられない、満足できないという人もいるでしょう。

具体的には、専門的な工種の現場だけを担当していて、会社的にも専門の現場にしか赴任命令が出ないケースがあります。

心機一転、別のゼネコンで他の種類の工事現場で経験を積みたいケースや、中小ゼネコンから大手ゼネコンへとステップアップし、大規模工事に関わりたい人などは、転職した先で、やりたい現場や仕事に従事できるかを確認・保証を得ることが重要です。

 

スキルアップ

 

 

精神的に異変を感じている人 

仕事により、精神的に異変を感じ、活力を感じられない人はすぐに休職・退職の準備を進めましょう。

生活していく上で仕事は非常に大切です。しかし、優先順位を間違えてはならず、身体が唯一の資本であることを肝に銘じて決断することが非常に重要です。

精神的な負荷は過度に影響を受けると復帰するためにも時間がかかります。

異変を感じたらすぐに休職や退職などの行動を起こすように心がけることが重要です。 

 

 

まとめ 

本記事では、既にゼネコンに従事している人に加えて、これからゼネコンを目指す人にとっても有益な情報になるように、辞めたいと感じる瞬間を6個、辞める前に確認するべきことを解説しました。

建設業界の中で特にゼネコンは、離職率が3割程度と他産業に比べると多いことが現状です。

転職が一般化している今、ゼネコンから新しい業界へ移りたい人、これからゼネコンに調整しようとしている人に後押しとなる内容になっていれば幸いです。 

 

 

 

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