施工管理はきつい?
仕事が大変な理由と解決方法を紹介!
施工管理とは?
まずは、建築・土木現場などの建設業が行う「施工管理」について説明します。
施工管理とは、工事現場において指揮・監督業務(工事監督)を実施し、工事管理を行う業務を言います。
具体的な業務内容には、工事現場が安全で高品質、かつ工期内に竣工し、受注企業の利益も出るように管理することが求められます。
施工管理を表す言葉に「QCDSE」という言葉があります。
Quality(品質)、Cost(原価)、Delivery(工期)、Safety(安全)、Environment(環境)の頭文字を取った言葉であり、施工管理をしていくうえで重要な指標となります。
また、施工管理とは、無資格でも業務を行うことはできますが、土木・建築分野にそれぞれ、一級・二級(土木・建築)施工管理技士という国家資格があります。
施工管理の仕事がきつい7つの理由
それでは、実体験をもとに施工管理がきついと言われている理由を7つに厳選して解説します。
具体的には以下の7つの理由から施工管理がきついと思う人が多いです。
- 朝が早くて夜も遅い
- 契約外の仕事が多数あり人間力でカバーすることが求められる
- 地方勤務で娯楽が少ない
- 長時間労働に加え、体力仕事
- 3Kな職場
- 人間関係が重要
- 女性に配慮が足りていない
①朝が早くて夜も遅い
現場施工管理は、朝が早くて夜も遅いことが特徴です。
地方の現場では通常8時朝礼であり、早番として7時朝礼から業務を開始している現場もあります。
一方で、現場監督として施工管理を行う場合、日中は現場で作業を指揮・監督し、現場を閉めた後に資料作成や積算業務などの事務作業を行うため事務所で仕事が続きます。
このように、朝が早くて夜も遅いことが大きな特徴です。
②契約外の仕事が多数あり人間力でカバーすることが求められる
施工管理業務では、天候の影響や業務毎の間に突発的な緊急対応や、誰の業務か所掌があいまいな作業が発生します。
もちろん協力会社(下請企業)もボランティアで仕事をしているわけではないので、何度も緊急対応を無償でやってもらうことはできません。
一方で、別途そのような作業を発注する予算・時間的な余裕もないため、お願いをしてやってもらっているということが実情です。
そのように、自分のミスが原因でなくても下手に出てお願いする必要があることがきつい理由の一つにもなります。
③地方勤務で娯楽が少ない
公共工事(特に土木現場)は、ダムやトンネル、橋や道路などと基本的に地方にあることが多く、現場周辺には娯楽施設が少ない傾向にあります。
特に新社会人になったばかりの若手の職員が東京の大手ゼネコンなどに就職してすぐ、地方の現場へ赴任すると同級生が都会で様々な経験ができる一方で地方格差を感じやすくなる傾向にあります。
④長時間労働に加え、体力仕事
建設業界の現場施工管理は、基本的に肉体労働です。
PRされるイメージムービーや写真、採用情報などではタブレットなどを活用してシュッとしている雰囲気を感じさせますが、基本的には肉体労働であり、重い器具を持ち運んだり、現場を走り回ることも少なくありません。
⑤3Kな職場
建設業の現場勤務は、3K(きつい、汚い、危険)な職場と揶揄され、改善が求められています。
全産業、特に製造業の中でも危険度の高い職場であり、事故の発生率も高いです。
結婚や出産を機に、家族のために現場勤務から離れる人もいるほど3Kな職場として改善が求められています。
⑥人間関係が重要
施工管理業務は人間関係が非常に重要です。
最終的に目的の構造物を築造できれば良いため、そのための方法は無数にあり、現場監督の指示にも上手い・下手があります。
最小の労力で結果が同じになるように様々な方法を検討し、指示するため、指示を聞いてもらいやすい人、聞きたくないと思われてしまう人が存在してしまいます。
軽んじられたレッテルを貼られると指示を聞いてもらいにくく苦労します。
⑦女性に配慮が足りていない
建設業界は、古くから男性社会の組織風土が残っていて、女性にはなじみづらい傾向にあります。
現場では、基本的に男性しかいないため、女性用の着替え室、トイレを別途設置しなければならず、気遣いをさせてしまうことにも抵抗がある人もいます。
施工管理がきついと感じる理由をイメージできたでしょうか。
次は、施工管理の職種にはどのような魅力があって頑張れるのかを解説します。
きつい施工管理にも魅力はあるのか?
施工管理には以下の魅力があるため続けられているという人が多いです。
施工管理の職種の中には、ゼネコンの現場監督として配置される人の他に、協力企業(下請会社)の職長として現場管理を実施するケースがあります。
両ケースでも下記の魅力は同じであると思われますのでどちらの立場でも参考になる内容になっています。
- 現場全体を指揮・監理しているやりがい
- 地図に残る仕事として達成感が大きい
- 高収入な職種である
- 地域貢献を感じやすい
- 将来性がある(技術職なため、仕事がなくなることは無い)
- 国家資格もあり、転職やキャリアアップに有利
①現場全体を指揮・監理しているやりがい
最も大きなやりがいに、指揮・監理している達成感があります。
自分の指示で現場が動き、構造物をつくるという目標に向かってチームをコントロールしている感覚が得られます。
加えて、構造物が出来上がる工程を最も近い場所で見流ことができることも自分の努力が成果に表れやすいといった観点でやりがいにつながります。
②地図に残る仕事として達成感が大きい
上述の通り、自分の成果は後世に残る、いわゆる「地図に残る仕事」になります。
公共工事として世の中の役に立つものを自分の手で作り上げる達成感はやりがいに大きく直結します。
③高収入の職種である
本記事では施工管理において現場監督する立場の人を対象としているため、協力会社(下請企業)の作業員ではなく、職長を対象としています。
その場合、現場監督、職長などの現場指揮を行う人は比較的給料が高い傾向にあります。
④地域貢献を感じやすい
公共工事のため、近隣住民や世の中のためになる仕事が多いです。
公共事業は税金を原資としていることから予算算出の際に国会で説明責任が求められます。
そのため、何のためにこの仕事をやるのかといった意義が明確であり貢献感を感じやすい仕事と言えます。
⑤将来性がある(技術職なため、仕事がなくなることは無い)
技術職の中でも施工管理技士の資格は、国家資格であり、仕事が無いと困ることがありません。
特に本資格を保有していることで地方の中小ゼネコンでは好待遇で働くことが可能になります。
⑥国家資格もあり、転職やキャリアアップに有利
上述の通り、一級・二級(土木・建築)施工管理技士の資格を保有していることで大手ゼネコンなどへ転職してキャリアアップが可能です。
ゼネコンでは社会人採用者に一級(土木・建築)施工管理技士の資格を要件として求めていることが多く、本資格を取得後にゼネコンに転職し給与アップを実現する事例も多いです。
施工管理のきつさを乗り越える方法
最後に、上述の通り施工管理が魅力的な理由は分かっていても、それでもきついと感じた時に乗り越える方法を解説します。
- 転職を検討する
- 人に相談する
- 何もしない時間をつくる(リフレッシュする)
- 関わった現場を見に行く
- 働き方改善に取り組む
①転職を検討する
建設業界の中でも施工管理職は、労働環境や残業などの面で、キツイ職種であると言えます。
そのため、設計事務所や国家公務員として国土交通省、地方公務員として県庁職員、コンサルタントなどの業界内の転職は比較的容易です。
加えて施工管理の経験は、同業界であれば欲しがられる経験であり、現場を知っている人が他の立場で建設業に関わることは大きな強みになります。
残業が少なめで、土日祝日にきちんと休める仕事を検討中であれば、発注者側の立場で業務を行う、「発注者支援業務」がおすすめです。発注者支援業務の業務内容は下記を参照ください。
②人に相談する
肉体的にも精神的にもきついと感じてしまった場合は、まずは一人で抱え込まずに人に相談するようにしましょう。
同業界の人間でもそれ以外でも人と話すことで自分の状況を客観的に見ることができ、適切な判断の力になります。
③何もしない時間をつくる(リフレッシュする)
日々の業務に忙殺されている人には何もしない時間をつくることが非常に重要です。
何も予定を入れない休日などを体験してみて落ち着いた日常を感じてみましょう。
④関わった現場を見に行く
自分は何のために仕事をしているのかが分からなくなった場合、竣工して実際に使われている現場を見に行ってみると感じることがあるかもしれません。
大型の構造物が人々の生活のためになっている現場を見ることで大変だった頃を思い出すこともでき、リフレッシュできるでしょう。
⑤働き方改善に取り組む
昨今、建設業界では働き方改善が求められています。
そのため、IT機器を率先して導入や活用の検討に関わることでAIやIT機器の理解と知識を身に着けることができます。
普段の施工管理では身に着けることが難しい知識や経験を身に着け、会社や世の中の業務改善に取り組みましょう。