施工管理技士におすすめの転職先は?
転職する際の注意点を解説
施工管理技士におすすめの転職先12選
土木・建設現場に従事する施工管理技士の仕事内容に関しては別記事でも詳しく解説しております。
ここでは、施工管理技士が転職先として候補に挙げることができるものを12種類取り上げて説明します。
- 建設コンサルタント
- 設計事務所
- 地方・国家公務員(国土交通省、県庁、市役所など)
- 建設会社の営業職
- 建築資材メーカーの営業、サブコン
- 都市再生機構
- 不動産
- ディベロッパー
- 宅地建物取引士
- ビル管理
- CADオペレーター
- プラント系企業(エネルギー、社会インフラ)
①建設コンサルタント
現場での施工管理経験を生かして、公共事業のプロセスにおける上流側において建設コンサルタントとして従事する方法があります。
公共事業のプロセスは、国民の税金を予算として、国家(国土交通省)または地方自治体(都道府県、市町村)が発注者として業務を発注し、建設コンサルタントが、調査・計画・設計などのコンサルティング業務を行います。
その後、建設会社が実際に現場で工事・施工管理を行うことで構造物が造られます。
そのため、建設コンサルタントとして従事する際に現場経験があることで、実現性の高い設計や計画が可能にできるという強みがあります。
建設コンサルタントの業務に「発注者支援業務」という発注者が行う業務を代行する業務があります。
詳しく発注者支援業務の業務内容を調べたい場合は、下記を参照ください。
②設計事務所
建築系の施工管理業務に従事していた人は、建築設計事務所へ転職することで強みを生かすことが可能です。
設計事務所では、意匠(いしょう)設計・構造設計・設備設計の3種類があり、意匠設計には、アトリエ系・組織系・コンサル系の3種類、建築家が主催している事務所がアトリエ系となります。
以下にそれぞれの特徴を記載します。
- アトリエ系:建築家が主催している事務所であり、住宅、小規模な商業施設、公共施設などを設計し、デザインにこだわる特徴があります。
- 組織系:100~1000人規模の事務所であり、主に商業施設や公共施設を設計します。
- コンサル系:商業施設や公共施設を計画するときに、建築全般の意見を聞く専門家・アドバイザーとしての業務を行います。
③国家・地方公務員(国土交通省、県庁、市役所など)
施工管理から国家・地方公務員(国土交通省、県庁、市役所など)へ転職する人は、実は多いです。
最も大きな理由として現場施工管理は、残業が多くプライベートな時間を取りにくい傾向にある一方で、公務員であれば残業時間が軽減され、かつ発注者という立場で仕事ができるため、業務量の調整、労働環境の改善が見込まれるからです。
また、国土交通省などの国家機関であれば、国土全体の総合的かつ体系的な利用・開発・保全などの整合的な整備として大型公共事業に関わる機会が増えます。
地方公務員であっても地域に密着して、その地域の発展の意思決定に参加できるため社会的意義を感じやすい傾向にあります。
④建設会社の営業職
現場施工管理から建設会社の営業職へ転職するケースもあります。
営業職の業務は、大きく2種類あり、顧客への建築などの提案と公共工事の入札対応です。
建築の提案では、新規開拓の場合、土地の所有者に対してマンションやアパートなどの建築物を建てることの提案、既存顧客の場合は、改築・改修など耐久年数ごとの維持管理が業務になります。
公共工事への入札対応業務は、国や都道府県が発注する公共工事は、基本的に入札で施工業者を決定します。
営業職として自社が受注可能性のある公示情報の収集と申請書類の準備などを行うため、自社で応札できたときに大きなやりがいを感じることができます。
⑤建築資材メーカーの営業、サブコン
現場施工管理で頻繁に活用する建築資材メーカーの営業職、サブコンへの転職も可能です。
現場経験があることでメーカーの職員として簡単な図面(ポンチ絵)や施工ステップ図等の資料作成ができ、現場監督から信頼を得ることができます。
また、現場で協力会社(下請企業)の作業員とコミュニケーションをとった経験があることも強みになります。
現場作業員は体育会系の人が多く、人付き合いが苦手な人が初見で対応するにはハードルが高いため、現場施工管理の経験がある人は、経験者として安心されやすい傾向にあります。
⑥都市再生機構
現場施工管理の経験を生かして都市再生機構などへ転職することも可能です。
具体的に、UR都市再生機構などは、都市再生事業・賃貸住宅事業・災害復興事業の3つを軸にしており、いずれも事務系・技術系の職員が協力し合って仕事をします。
現場施工管理経験を生かして、市街地の再開発事業、土地区画整備事業等にも挑戦することができます。
⑦不動産
現場施工管理を経て土地や建物の販売、管理、賃貸(仲介)を行う不動産業に転職することもできます。
具体的には、アパート、マンション、戸建て物件などの不動産を個人や法人に販売したり、賃貸契約の提案を行います。
建築の施工経験があることで土地や周辺の状況、物件の特徴などを専門的な知見から説明することができるメリットがあります。
不動産物件は商品単価が大きいため、一件対応するだけで取引金額が大きいことからやりがいや達成感を得やすい特徴があります。
更に、施工管理のようにチームで造り上げることと比較すると個人の努力で会社の売り上げに直結するため責任感を持ちやすい傾向にあります。
⑧ディベロッパー
土地や建物を商品として扱う不動産業には、主に企画・開発、販売、管理、賃貸(仲介)の4つの事業に分けることができます。
その中で、企画・開発に関わる仕事がディベロッパーという職業です。
具体的には、用地を取得し、その土地で各開発事業を行うことを指し、街の再開発の他、リゾート開発、商業施設の開発、マンション開発、大規模宅地開発などが業務範囲です。
⑨宅地建物取引士
不動産業の事業の一つに仲介業があります。
その業務の一部は、宅地建物取引士の独占業務になっており、資格保有者以外が行えない特徴があります。
具体的には、重要事項の説明、重要事項説明書(35条書面)への記名、37条書面への記名などは宅地建物取引士(資格保有者)が行わなければならないことです。
⑩ビル管理
施工管理業務へ従事していた経験を生かして、ビル管理業務を行うこともできます。
ビル管理業務とは、ビルの管理・メンテナンスを行うことで、衛生面、安全面の維持管理を行い、誰もが安全に快適に利用できる施設を目指します。
業務は大きく以下の6種類に分けれていますが施工管理と比較すると、給与面での低下と同時に責任範囲も小さくなります。
- 点検設備業務
- 衛生管理業務
- 清掃管理業務
- 警備業務
- 運転保守業務
- 管理サービス業務
⑪CADオペレーター
現場施工管理の経験を生かしてCADオペレーターに転職することも可能です。
施工管理業務では、施工計画図、施工ステップ図、設計変更等の様々な業務でCADを活用します。
そのため、CAD操作の基礎的なスキルが身についた状態で新しい仕事を始めれることがCADオペレーターとして転職する大きなメリットになります。
長時間CADを操作することでストレスを感じないかを事前に確認できているため好きな仕事で転職できる事例の一つになります。
⑫プラント系企業(エネルギー、社会インフラ)
最後に紹介するのが、プラント系企業です。
施工管理として現場で土木・建築構造物の築造に従事していた経験を生かしてプラント施設(工場や管理施設)の築造に転職することが可能です。
モノづくりの現場経験で培ったマネジメントスキルをそのまま活かすことができるためギャップが少ない転職先といえます。
転職する際の注意点
上記選択肢を見て、転職を考えるときに「退職」時の注意事項を説明します。
上記選択肢は、基本的に建設業界内での転職となるため、今後も業務で関わる可能性がありえます。
そのため、円満に退職するため下記に示す注意点・留意事項を抑えて行動するようにしましょう。
タイミング
現場施工管理業務の工期は、9月末や12月末〜3月末に設定されやすく、当該時期は、繁忙期になりがちです。
もし精神的に異常が出ていて今すぐ辞めないとマズい、と感じている方以外であれば「円満」に退職するためにも繁忙期(工期末)を外すといった考慮があると円満退社しやすい傾向にあります。
また、現場施工管理の職員は、現場ごとに人員を割り振っているため、担当の現場が竣工する前に次の現場への人事異動が計画されています。
そのため、担当現場の竣工を迎える直前に退職を打診すると、次の現場への人材の確保・再調整が大変になるため、今の現場が終わったら退職を考えている、などと事前に報告することで人事采配の手間を最小限にしましょう。
目的の明確化
最後に最も重要なことが転職目的の明確化です。
施工管理職から他職種へ転職する際に重要なことは、転職の軸であり、何を求めて転職するのかを明確化するように心がけることが重要です。
施工管理職の特徴は、給与は比較的高いが、残業などの時間外労働が多いことにあります。
そのため残業時間が少なくワークライフバランスを重要視する場合、公務員などが候補に挙がります。
また、発注者側の立場で仕事する「発注者支援業務」もワークバランス重視の方にはよいかと思います。
このように何を改善したくて、転職するかを事前に把握しておくことが重要です。