国土交通省の職員の年収、給与と役割
国土交通省の職員の年収と給与について解説します。
国土交通省の職員は国家公務員であり、給与は公務員規定に準拠して支給されます。
公務員規定では、俸給という年齢と役職により基本給が明確に定められており一般人にも公開されています。
本記事では、冒頭に国土交通省の組織、役割なども併せて解説しています。
これから国土交通省の職員を目指す人にも分かりやすい内容になっているのでぜひ参考にしてください。
国土交通省の組織と主な役割について
国土交通省とは、国土の総合的、体系的な利用と開発及び保全を目的として社会資本の整備や交通政策の推進、海上保安などを担う官庁です。
2001年(平成13年)に北海道開発庁、国土庁、運輸省、建設省を母体として設置され、土木事業・道路整備事業・湾岸整備事業・交通政策・都市整備・環境整備に加えて、災害復旧などの業務に従事しています。
国土交通省の職員は、本省内部部局・施設等機関・特別の機関・地方支分部局などの施設に分かれて配属されます。
本記事では、一般的に土木・建築現場に従事する職員に注目して解説していきます。
本省内部部局には、幹線道路網の構築、IT社会の基盤形成、都市の新生・再構築、交通連携の推進を担う道路局の他、鉄道局や港湾局などがあり、それぞれの部署で社会資本整備事業を民間企業に発注し、建設会社や建設コンサルタントなどが受注することで社会資本を整備し、国の発展に貢献しています。
本省内部部局以外にも、技術的な問題に対して専門的な知見から助言する機関として、「国土技術政策総合研究所」が茨城県つくば市にあります。
当該機関では、調査・試験・研究・開発、当該技術に関する指導・成果の普及・情報の収集・整理・提供を行っています。
その他にも、地方支分部局として、(東北・関東・北陸・中部・近畿・中国・四国・九州)地方整備局があり、地方の比較的小規模な工事を発注します。
より詳しく、組織・役割などの業務所掌を確認したい場合は下記リンクより参照ください。
参照:国土交通省について(https://www.mlit.go.jp/about/soshiki.html)
給与の決まり方
国家公務員の給与とは、どのように決められているのでしょうか。
国家公務員の給与は、民間企業の従業員の給与水準に合わせられるようにして決められています。
その理由は、国家公務員の給与は民間企業のように収益や利益などを元に決めることが難しく、その時々の景気の動向を反映して決めることが合理的だからです。
公務員の給料の原資は国民の税金により支払われているため国会答弁が求められます。
国民に理解いただくためにも最も妥当性が高く合理的な理由から上記のような決められ方をしているのです。
また、国家公務員の給料は、俸給と呼ばれ法律(国家公務員倫理規程)に基づいて定められています。
人事院が毎年統計/算出結果を出すことで一般的に公開されており、ポストや職員の能力・実績などに応じて決定され、11種17表から示される俸給表から個人別に算出されます。
本記事では、国家公務員の平均年収を、人事院が公表しているデータをもとに算出してご紹介します。
平均年収
国土交通省職員の平均年収は660~680万円程度であり、ボーナスはその内180万円程度となっています。
人事院から出されている令和5年度の「国家公務員給与等実態調査」を参考にすると、国家総合職の平均給与月額は404,015円、俸給は322,487円で、平均年収は約666万円でした。
ここで、平均年収とは平均給与月額×12ヶ月+平均給与月額×4.5ヶ月(ボーナス)で算出しています。
ここで、国税庁から出されている令和4年度分の「民間企業の給与実態統計調査結果」では、民間企業に従事している給与所得者の平均年収は458万円であり、男性563万円、女性314万円と算出されています。
本数字と比較しても国土交通省職員の給与は平均以上といえます。参考までに国土交通省の平均年齢を各年度で下表に表します。
年度 | 平均年齢 |
---|---|
2021年 | 40.6歳 |
2020年 | 40.6歳 |
2019年 | 40.7歳 |
2018年 | 40.7歳 |
2017年 | 40.7歳 |
2016年 | 40.7歳 |
2015年 | 40.7歳 |
2014年 | 40.6歳 |
2013年 | 40.3歳 |
2012年 | 40歳 |
2011年 | 39.8歳 |
2010年 | 39.6歳 |
2009年 | 39.5歳 |
2008年 | 39.6歳 |
2007年 | 39.5歳 |
2006年 | 39.3歳 |
2005年 | 39.1歳 |
2004年 | 39.1歳 |
2003年 | 38.9歳 |
モデル別給与
次に、国土交通省職員の役職/年齢別のモデル給与を紹介します。
本内容は、内閣官房内閣人事局が公表している令和5年度版「国家公務員の給与」を参考に作成しました。
国土交通省の職員には、国家総合職と国家一般職の2種類があり、それぞれの年齢で役職や給与体系に違いが出るので入省を考える際の検討するべき事項の一つです。
国家総合職の場合 | 国家一般職の場合 | |
25歳 | 係員 月額 196,900円 年収 321.3万円 | 係員 月額 196,900円 年収 321.3万円 |
35歳 | 本府省課長補佐 月額 435,320円 年収 719.2万円 | 係長 月額 274,600円 年収 454.1万円 |
40〜50歳 | 本府省参事官 月額 435,320~749,400円 年収 719.2~1260.1万円 | – |
50歳 | 本府省課長 月額 749,400円 年収 1260.1万円 | 地方機関課長 月額 413,200円 年収 670.2万円 |
50歳〜 | 本府省局長、官房長 月額 1,074,000円 年収 1769.8万円 | – |
50歳〜 | 本府省審議官 月額 1,074,000~1,410,000円 年収 179.8~2323.5万円 | – |
50歳〜 | 本府省政策統括官 月額 1,074,000~1,410,000円 年収 1769.8~2323.5万円 | – |
50歳〜 | 事務次官 月額 1,410,000円 年収 2323.5万円 | – |
初任給
それでは、国土交通省職員の初任給はいかがでしょうか。国家総合職・国家一般職別の初任給を以下に示します。
試験 | 級・号棒 | 月額 |
---|---|---|
国家総合職(大学/院卒) | 2級11号俸 | 256,000円程度 |
国家総合職(大学/学部卒) | 2級1号俸 | 224,000円程度 |
上述からわかるように国土交通省内部でも国家総合職と国家一般職で大きく給与が異なり、年齢や役職が上がるにつれてその差は広がっていくので入省時にその事実を踏まえる必要があります。
試験 | 級・号棒 | 月額 |
---|---|---|
国家一般職(大学/学部卒) | 1級25号俸 | 219,000円程度 |
国家一般職(高卒者) | 1級5号俸 | 181,000円程度 |
内部規定
初任給に加えて、国家公務員(国土交通省の職員)には下記の内部規定があります。
- 諸手当:扶養手当、通勤手当、住居手当、超過勤務手当、単身赴任手当
- 休暇:年次有給休暇(年間20日間)、特別休暇(夏期、年末、結婚、出産、病気等)
- 勤務時間: 1日当たり7時間45分
- 賞与:6月、12月に支給
給与の観点から、諸手当として福利厚生制度についても解説します。
国家公務員の福利厚生の詳細
国家公務員の給料には、国家公務員倫理規程により年齢と職能別で定められた額の他に福利厚生として一部手当が含まれます。
職員の状況に応じて異なる金額になりますがその一部を下記の通り紹介します。
- 住居手当
- 地域手当
- 扶養手当
- 通勤手当
- 単身赴任手当
それぞれの手当てについて解説しますが、より詳細に知りたい人は、下記リンクより参照ください。
参照:福利厚生について(https://www.mlit.go.jp/saiyojoho/record.html)
住居手当について
借家に居住する職員及び単身赴任手当受給者であっても最大28,000円の補助が支給されます。
職員が単身赴任している場合であっても配偶者が住んでいる場合、14,000円が支給されます。
地域手当について
民間企業の所在地別賃金率に比例して賃金が高い地域に一定金額の補助が支給されます。
支給額は、俸給等の月額に支給割合を乗じて計算され、1~7級の地方に分けられています。
具体的に、1級に分類される東京都特別区の支給割合は20/100となっており、20%手当がつきます。
扶養手当について
扶養親族のある職員に支給され、配偶者6,500円、子10,000円、父母等6,500円が支給されます。
通勤手当について
通勤のために交通機関などを利用する場合、6ヵ月定期券の価額により支給されます。
ただし、1ヵ月あたり55,000円が上限であり、最寄り駅の規定も別途適用されます。
単身赴任手当について
辞令により、異動等に伴って住居を移転し、やむを得ない事情により同居していた配偶者と別居して単身で生活することになった職員に支給されます。
当該職員と配偶者との住居の交通距離に応じて支給され、月額10,000円〜30,000円と定められています。
まとめ
国土交通省の職員(国家公務員)の給与形態を理解できたでしょうか。
国土交通省の職員は国家公務員として国土の安全、体系的な利用と開発及び保全を目的として社会整備を行う機関であり、仕事のやりがいは大きいです。
給与についても全産業の平均年収よりも高いため男女の賃金差はあるものの国家総合職であれば各種手当を踏まえて十分にゆとりを持った生活ができます。