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建設コラム

発注者支援業務における「資料作成」について徹底解説 

 

発注者支援業務における「資料作成」とは具体的にどのような業務を指すのでしょうか?

本記事では、資料作成の業務内容の詳細、本業務に従事するにあたり、必要な資格要件、保有すべきスキルや経験などを詳しく解説しています。

そのほかにも本業務へ向いている人の特徴についても触れているため、これから本業務に挑戦しようとしている人にも役に立つ内容になっています。 

 

 

発注者支援業務とは? 

発注者支援業務とは、別記事「発注者支援業務とは」にて詳しく記載していますが、国土交通省やNEXCO東・中・西日本、UR都市機構などの公共事業の発注者が本来行うべき業務(工事監理業務や積算業務)を代わりに行う業務を指します。 

 

発注者支援業務

 

 

資料作成とは 

資料作成業務とは、業務発注・入札手続きにおける発注者補助業務として「資料作成」を行う業務を指します。

入札契約手続きのチェック体制の強化を目的に導入され、背景には、ワークライフバランスの推進などの副次効果も狙われていました。

 

業務対象は、調査設計資料の作成業務の一部を担っています。

具体的には、入札手続きの資料作成や参加表明書の評価のための資料作成・チェックなどを外部委託することで第三者目線のダブルチェックによるミスの防止、事務作業負担の軽減によるワークライフバランスの推進を図ることが挙げられます。 

 

資料作成業務とは

 

 

業務内容の詳細 

具体的な業務内容は、国土交通省 関東地方整備局からの情報をもとに下記にリストアップしました。 

 

  • 発注者の指示に基づく公示資料の作成業務 
  • 提出された参加表明書(実績等)に基づく評価(客観点)作業 
    • システムへのデータ入力 
    • 入力データ・出力データの整理 
    • 資料作成 等 
  • 各種チェック、発注担当者への説明 
    • 発注者指示と公示資料などの整合性チェック 
    • 公示資料等のガイドライン、通達、事務連絡などの整合性チェック 
    • 公示資料など、参加表明書の記載内容、発注者が把握している実績データ等、評価結果間の整合性チェック
    • 資料作成、チェック結果を用いた、発注担当者への説明、発注担当者とのダブルチェック 
  • その他(発注者の指示に基づく資料の作成業務) 

 

参考資料:国土交通省 関東地整整備局 発注者支援業務・公物管理補助業務等の業務概要について 
https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000869189.pdf 

 

資料作成の業務内容の詳細

 

 

資格要件、保有すべきスキルや経験 

本業務を行うために必要なスキルは、検査で必要になる設計図面を正確に理解できる図面の基礎知識と、作成・修正に必要なCADスキルが必須です。

その他にも、設計図から数量計算が適切に行われているか、積算が適切に行われているか照査するための基礎知識が必要になります。

下記の項目をリストアップしました。 

 

  • 設計図面を読み解く基礎知識 
  • CAD操作方法の理解 
  • 数量総括表の基礎知識 
  • 積算の基礎知識(単価と歩掛の計算方法の理解) 

 

上記に加えて、現場で施工管理の経験がある人、設計コンサルタントとして調査や設計業務の経験がある人、民間でもNEXCO東・中・西日本のように発注者経験がある人も業務理解の観点から即戦力になります。 

 

積算業務

 

 

持っていることが望ましい資格 

発注者支援業務を行っている一般社団法人や民間の建設コンサルタントの中には、現場経験に加えて資格要件を求めている企業もあります。

ここでは、通常取り上げられやすい資格について説明します。 

 

  • 技術士(建設部門、総合技術監理部門)
  • 1級・2級土木・建築施工管理技士 
  • RCCM(建設コンサルタンツ協会が実施する民間資格) 
  • 土木学会 土木技術者(特別上級、上級、1級、2級) 
  • 1級・2級電気工事施工管理技士 
  • 1級・2級造園施工管理技士 

 

発注者支援業務に必要な資格 

国土交通省の資料によると、土木に必要な資格は次の通りです。 

 

  1. 技術士/技術士補(総合技術監理部門ー建設部門) 
  2. 土木施工管理技士(1級/2級) 
  3. 土木学会 土木技術者(特別上級/上級/1級/2級) 
  4. 土木学会上級土木技術者 
  5. 土木学会1級土木技術者それから土木学会2級土木技術者 
  6. 一般社団法人 全日本建設技術協会 公共工事品質確保技術者(1級/2級)
  7.  RCCM(シビルコンサルティングマネージャー) 

 

上記の通り、分野を絞った専門資格ではなく、現場実務を広く理解している資格が求められやすい傾向にあります。

分野を絞った業務であれば、コンクリート診断士、測量士、建築士などを要件とする場合もあります。

それぞれの資格については、別記事「発注者支援業務で求められる資格とは?取っておきたい資格を徹底解説!」にて詳しく記載していますが、国土交通省やNEXCO東・中・西日本などで求められる資格要件が異なることにも留意が必要です。

ここでは、特に専門的な資格である電気工事施工管理技士と造園施工管理技士について補足します。 

  

 

1級・2級電気工事施工管理技士 

電気工事施工管理技士とは、建築物や土木構造物の建設などに際し電気工事に関する施工計画の作成、工事現場における現場管理(品質・原価・工程・安全・環境)、監督を行う人を指します。

電気工事が単独で発注されることは多くありませんが、構造物に付随する工種の一つとして本資格が重宝されるケースがあります。

同様の理由から転職先が電気工事関係を専門で行っている場合、評価される資格となります。 

 

1級・2級造園施工管理技士 

造園施工管理技士とは、造園施工技術のエキスパートとして造園工事において責任者に求められる資格要件にあげられる資格の一つです。

造園工事とは、国土交通省が示す形式として植栽工事、地被工事、公園設備工事、園路工事、屋上等緑化工事など多岐にわたります。

実際に1級造園施工管理技士が管理技術者として応札された場合は、当該資格保有者がいない応札者と比較して数倍高い評価をされています。 

 

発注者支援業務においても、造園工事(植栽工事、地被工事、公園設備工事、園路工事、屋上等緑化工事)において1級造園施工管理技士であれば保有しておいた方が評価の高い資格と言えるでしょう。

転職に際しても造園工事専門の企業にとっては好待遇で迎えられる資格の一つです。 

 

1級・2級造園施工管理技士 

 

 

業務の魅力 

資料作成業務の魅力は、これまで関わることのできなかった大型の国家プロジェクトにも関わることができることです。

国家プロジェクト規模の工事には、発注者としては国土交通省をはじめとした政府機関が立ち、請負企業はスーパーゼネコン(鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店、大林)などが取りやすい傾向にあります。

企業規模からも資本金が多く、自社資金で不測の事態に対応できるため、資金力に乏しい準大手ゼネコンや中小ゼネコンが率先して国家プロジェクト規模の案件には入っていけていないことが実情です。

しかし、発注者支援業務であれば、これまで関わることのできなかった規模の案件に発注者支援業務として発注者の代理人という立場で業務に従事でき、検査を通して高品質な成果を確保することで社会貢献できることが大きな魅力です。 

 

 

向いている人の特長 

発注者支援業務の中でも「資料作成支援業務」はミスが許されない仕事の一つであるという特徴があります。

従って、スピードよりも正確性を重視し、ミスなく仕事を任せることができる人には非常に向いている仕事と言えます。特徴を下記の4点に分けて解説します。

 

  1.  ミスがない 
  2. 柔軟な対応ができる 
  3. CAD操作が得意 
  4. コミュニケーション力が高い 

 

①ミスがない 

公共事業の原資は、国民の税金であり、政府は国会で国民へ税金の使用先と進捗、成果を報告する義務があります。

従って、発注者として公共事業の責任を担い、資料へのミスが全くないことが求められます。

具体的には、設計図面、数量総括表の矛盾が無いこと、積算結果が一貫していることが求められます。

 

②柔軟な対応ができる  

その他にも、柔軟な対応ができる人は本業務に向いています。建設現場は屋外が基本であり、天候や災害など予期せぬ事態に度々遭遇します。

建設工事を通して「予定外」は日常茶飯事であり、予定していたタイミングで予定していた業務を行うことができる方が少ないことが現状です。

そのため、振り回されても、自分で自分をコントロールし、出来ることから臨機応変に対応できる柔軟性を持っている人は、本業務に向いている人だと言えます。 

 

③CAD操作が得意 

資料作成支援業務では、WordやExcelファイルの他、CADファイルを高頻度で使用します。

図面の作成や修正、数量総括表の作成などもCADを用いて作ることがあるため、CADの使用経験が本業務の向き不向きに大きく関わります。 

 

CAD操作が得意

 

 

④コミュニケーション力が高い 

多くの仕事に当てはまることですが、本業務においても「コミュニケーション力」が非常に重要になります。

業務を指示する発注者と施工業者(請負業者である建設会社)の間で業務を行うため、両者の考えを理解し、検討することが求められます。

また、発注者の代理といっても、施工業者へ直接的に指示ができないため、発注者へ報告、指示を仰ぎ、発注者を通して施工業者へ現場の是正指示をするという、間接的な業務が必要になります。

そのため、正しくスムーズに情報を伝えて動いてもらうコミュニケーション力が非常に重要になります。

 

 

まとめ 

発注者支援業務における「資料作成業務」の内容を理解できたでしょうか?

本業務は、資料を作成するだけではなく、発注者の代理人という立場で、現場従事者である請負業者(施工会社)と発注者の間で工事現場を高品質に安全で納期を守って竣工させるための補助業務になります。

建設業界内で発注者支援に興味のある人や大型プロジェクトに発注者の立場で関わりたい人には役に立つ内容になっています。 

 

 

 

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