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Construction column

建設コラム

国土交通省の仕事内容は?
今後の課題や解決策についても徹底解説! 

 

国土交通省の職員が具体的にどのような仕事内容を担当しているかご存じでしょうか?

行政機関の仕事は抽象的に表されることが多く、一般人にとってその仕事内容を具体的に取り上げることは難しいです。

本記事では、国土交通省の役割、部局別の仕事内容に加えて、具体的な取組みを取り上げて解説します。 

 

 

国土交通省の役割 

国土交通省とは、日本の行政機関の一つであり「国土の総合的かつ体系的な利用、開発および保全、社会資本の整合的な整備、交通政策の推進、気象業務、ならびに海上の安全や治安の確保に関することを所管する組織」です。

 

国土交通省の役割

 

 

具体的に言うと、国土交通省では「空路・道路・海路・土地の整備と管理」を所掌して人々の快適な生活を維持するために必要な施策を行う組織です。

株式会社と異なり、国民の税金を使って、利益を追求することなく、国民の豊かな暮らしを守るために活動しています。 

 

国民の豊かな暮らし

 

 

組織図と主な仕事内容 

国土交通省の組織図(部局)と主な業務所掌を下記に記載しました。「本省内部」が一般的な部局であり、主に政策の拠点になります。 

 

組織と部局 主な担当業務 
本省内部 大臣官房 法令、人事、予算など国土交通省全般の業務運営 
総合政策局 総合的かつ基本的な方針の策定や、各局横断的な施策のとりまとめ 
国土政策局 国土の利用、開発及び保全の推進 
不動産・建設経済局 土地政策の推進、建設業や不動産業の育成・振興 
都市局 都市の再生、多様性のある個性的なまちづくりや地域づくりの推進 
水管理・国土保全局 防災対策、河川・ダム・海岸島の維持管理 
道路局 幹線道路網の構築、交通連携の推進 
住宅局 住生活および建築物の質の向上、安全で快適な生活環境の確保 
鉄道局 鉄道の高速化、都市鉄道の整備、利用者利便の向上・円滑化 
物流・自動車局 安全と利便性の高い交通システム、自動車の安全対策の推進 
海事局 海運の強化・活性化、造船業・舶用工業の発展 
港湾局 港湾物流ネットワーク構築の推進、生活を支える港湾の創造 
航空局 空港の整備、航空交通の安全確保および利用者利便の向上 
北海道局 北海道の総合開発計画の企画・立案および推進 
政策統括官 国土交通省の政策の的確な評価を通じた見直し・改善 
国際統括官 海外における交通プロジェクトの推進 
施設等機関 国土交通政策研究所 省の政策に関する基礎的な調査・研究 
国土技術政策総合研究所 社会資本整備の技術分野における調査・試験・研究・開発、当該技術に関する指導・成果の普及・情報の収集・整理・提供など 
国土交通大学校 職員等を対象とする国土交通行政に関する研修 
航空保安大学校 航空保安業務を担当する職員(航空管制官等)の養成 
特別の機関 国土地理院 測量の実施・調整、地理情報の整備・管理・提供 
小笠原総合事務所 小笠原諸島における土地(国有地を除く)に関すること全般 
海難審判所 海技士若しくは小型船舶操縦士又は水先人に対する懲戒を行うための海難の調査及び審判を行うこと 
地方支分部局 地方整備局 管轄区域における公共事業の実施及び助成 
北海道開発局 北海道の区域における公共事業の実施及び助成 
地方運輸局 管轄区域における交通、貨物流通、観光、鉄軌道など全般 
地方航空局 管轄区域における航空運送事業全般 
航空交通管制部 管轄区域における航空交通管制、飛行計画に関すること 

 

 

国土交通省の仕事内容 

国土交通省の役割や部局ごとの業務の概要を上述で紹介しました。

国土交通省では、人々の暮らしを支える次経済社会の実現、人々の安全、美しく良好な環境、多様性のある地域の実現に向けて、老朽化した社会資本の増加への対策、災害の頻発・激甚化への対応、建設業界などの製造業全般における生産性の向上にむけて取組見を実施しております。 

 

具体的な取組み事例について下記3点に絞って課題・解決策などの例を挙げて解説します。 

 

  1. 老朽化した社会資本への対策 
  2. 防災・減災に対する取り組み 
  3. 製造業の生産性向上 

 

【課題①】老朽化した社会資本への対策 

従来、社会資本(インフラ)の維持管理体制は損傷が顕在化してから点検・補修・更新を行う事後保全型維持管理体制となっていました。

しかし、事後保全型では計画的な予算を組むことが出来ず、維持管理に関わるトータルコストも大きい問題がありました。

そこで、如何にして事後保全型維持管理体制を見直すかが課題とされています。 

 

老朽化した社会資本

 

 

解決策①予防保全型維持管理への転換 

国土交通省では、中長期的な維持管理・更新等に係るトータルコストを縮減し、予算を平準化していくためには、インフラの長寿命化を図り、大規模な修繕や更新をできるだけ回避することが重要と考えています。

このため、アセットマネジメントに基づいて、重要度の高い構造物を選定し、損傷が軽微である早期段階に予防的な修繕等を実施することで機能の保持・回復を図る予防保全型維持管理の導入を推進しています。 

 

解決策②ICT・Iot機器の活用 

その他にも、これまで人の手で行われていた点検・診断作業をドローンやセンサー等のICT・Iot機器を用いた新技術を活用する取り組みを推進しております。

その結果、作業を省力化・省人化でき、情報の高度化、コスト縮減を図ることが可能になります。

具体的には、橋梁用点検ロボット等があり、従来では交通規制が必要だった箇所へ活用することで作業の効率化を図る方法などを実践しています。 

 

ICT・Iot機器の活用 

 

 

解決策③維持管理資料のデータベース化 

加えて、国土交通省では、社会資本(インフラ)の点検・診断結果をデータベース化することで効率的な維持管理体制の構築を図っています。

具体的には、点検項目を統一して各自治体が一斉にインフラ点検を実施します。

並行してAIを活用し、インフラデータプラットフォームにデータを収集・集積して要素別の整理することでメンテナンスの高度化・効率化が可能になります。

その結果、類似構造物の劣化状況から劣化速度を予測して、予知保全対策を行うことが出来ます。 

 

 

【課題②】防災・減災に対する取り組み 

近年、平成30年7月西日本豪雨のような異常気象に伴う異常降雨・出水による超過外力の作用、また東日本大震災のような従来想定していた以上の地震・津波による防災インフラ能力を超過した外力の作用により、ハード対策の限界が露呈しています。

そこで、国土交通省では、如何にしてハード対策である防災施設では守り切れない自然災害に対応するかを課題にさまざまな取り組みを実施しています。 

 

防災・減災に対する取り組み 

 

 

解決策①粘り強い構造の防災施設 

ハード対策として粘り強い構造の防災施設を活用して住民が避難する時間を確保する等のソフト対策への寄与を解決策として実施しています。

粘り強い構造とは、大型地震による災害等で津波が海岸堤防等を越流しても、施設が破壊・倒壊するまでに時間を少しでも長く確保する、あるいは、施設が全壊に至る可能性を少しでも減らすといった減災効果を目指して構造上の工夫を施す方法です。

防波堤における具体例としては、基礎マウンドの洗堀防止のための被覆材の設置、天端被覆工の補強、陸側法面の補強等があります。

 

解決策②自助・公助・共助による被害の最小化 

ハード対策の他にも、ソフト対策として自助・共助・公助を基本に防災意識の啓発を解決策として挙げて取り組みを実施しています。

自助として住民一人一人が日頃から防災意識を高く持ち、自らの命を守るように意識させます。公助・共助として行政や官民・NPOが協力して、防災教育・訓練等で避難行動を促します。

しかし、行政だけが防災対策に注力しても、住民の認知度が低ければ災害時に活用されず役に立ちません。

そこで、住民参加型のハザードマップ・タイムラインの作成を実施して住民の認知度を向上させつつ防災意識を持たせる方法に加えて、エリアメールやプッシュ型通知を導入・普及することでリアルタイムな避難指示を可能にする取り組みを実施しています。 

 

解決策③IoT機器を活用した監視体制の構築 

加えて、Iot機器を活用することで災害発生時に危険なエリアへ人が出向くことなく現地の状況をリアルタイムで入手することが可能になり迅速な避難指示を出すことで被災者の軽減を図る方法にも取り組んでいます。

具体的には、警戒河川に小型で低コストな危機管理水位計を設置することで大型台風やゲリラ豪雨時において、河川の水位情報をリアルタイムで計測できるため、地域住民に迅速な避難指示を出することが可能になり被災軽減を図る取り組みがあります。 

 

 

【課題③】製造業の生産性向上 

建設現場の作業の多くは、人の手に頼る労働集約型で形成されています。加えて、天候の影響に大きく左右されるため工期遅延や施工品質の低下のリスクがあります。

そこで、国土交通省では、如何にして労働集約型から資本集約型へと転換して現場作業を省力化・省人化するかを課題にさまざまな取り組みを実施しています。 

 

解決策①プレキャスト化の推進 

コンクリート構造物のプレキャスト化を推進しています。

現場生産から工場生産に転換することで計画的・効率的な生産が可能になり、現場作業の省人化・省力化に加えて、工期短縮を図ることが出来るようになります。

更に、大型構造物への適用や部材形状・寸法等の規格の標準化を推進することでストックが可能となり、現状の単品受注生産体制からストック生産体制へと転換を図ることが可能になります。 

 

解決策②ICT施工の推進 

建設現場の生産性向上のためにICT施工の推進を推進しています。具体的には、調査・測量段階においてUAVによる三次元測量を実施します。

設計段階ではBIM/CIMによる3Dモデルを活用した設計により、現場状況に応じた現実的な重機配置や仮設資材置き場までを施工計画に反映することが出来るようになります。

加えて、施工段階ではICT建機の活用することで丁張などが不要になり現場作業の省力化を図ることが出来るメリットもあります。 

 

解決策③AI・ロボットの活用 

加えて、AIを用いた画像解析やロボットによる現場作業の省人化にも取り組んでいます。

具体的には、これまで現場で熟練の専門技術者が目視確認していた点検業務をパソコン上の画像解析に転換することで現場に行く必要が無く、AIによるコンクリートの有害ひび割れの検知精度の向上を図ることが可能になります。

さらに、単純な配筋作業にロボットを活用することで現場の省人化を図ることもできます。

 

AI・ロボットの活用 

 

 

まとめ 

国土交通省の仕事内容を理解できたでしょうか?

国土交通省のHPが抽象的な表現となっていることから、具体的な業務をイメージすることが難しいと思われる方も多いです。

本記事で記載したように、世の中の課題(老朽化した社会資本、防災・減災対策、生産性の向上)へなど利益を追求しない組織(行政)だからこそできる取組みを通して、国民の安心・安全な生活を維持しています。

本記事を通して国土交通省の仕事に興味を持ってくれる人がいると幸いです。 

 

 

 

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