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建設コラム

国土交通省の「登録資格」とは? 

 

国土交通省の「登録資格」という言葉を聞いたことがありますか?

本記事では、国土交通省が登録資格を評価するようになった背景や目的、現在の登録資格の種類や、最近新しく追加とされた「ドローン免許」に関しても詳しく解説しています。

これから技術系の資格取得を考える人、管理技術者や主任技術者のように保有資格が評価される立場で建設業などに従事する人に役立つ内容になっています。 

 

認定資格

 

 

国土交通省の「登録資格」とは? 

まず冒頭、国土交通省の「登録資格」について解説します。

国土交通省の登録資格とは、民間団体などが運営する資格の中でも一定水準を超えた技術力を有すると国土交通省が評価する資格のことです。

技術者不足に対する対策の一つとして、国家や地方公共団体の業務に従事する際にも、民間団体の資格を評価することで限られた技術者を効果的に活用することができるように平成26年度に導入されました。 

 

認定資格2

 

 

登録資格の評価における背景 

なぜ、国土交通省が登録資格と称して民間団体の資格を国家や地方(県や市区町村)が発注する公共事業の従事者の技術者としての評価したのか上述でも触れましたが詳しく背景を解説します。

 

社会資本(インフラ構造物)の維持管理や補修・補強・改修などの調査・診断業務を適切に行うためには、構造物の適切な点検や診断が重要になります。

平成26年6月に改正された「公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)」においても調査や設計業務における品質管理の観点から資格や保有資格の評価の在り方について検討がされてきました。

 

具体的には、社会資本(インフラ構造物)と比較して不足する技術者を効率的に配置するために、同種の資格であっても国家が実施する国家資格でなければ評価されないという現状を変えるために導入された制度だったのです。

これにより、発注業務の品質向上に加えて、資格保有者の活躍の機会の拡大が期待されます。

 

保有資格

 

 

我が国の課題① 技術者不足 

国土交通大臣が認可した国家資格を保有していなくても民間の類似資格を保有していることで従事できる業務の幅が広がり、少ない技術者を効果的に配置することが可能になります。 

 

我が国の課題② 急激に加速する老朽化した構造物の増加 

我が国では、今後急速に老朽化する高度経済成長期に集中的に整備された社会資本ストックの維持管理・更新に対応するためには人の手では限界に近い状態です。

そこで、これまで人の手で行われてきた業務を機械に置き換える方法を拡大しています。

具体的には、ICT、 IoT、 AIなどに置き換えることで業務の省人化、機械化・省力化の取り組みを促進しています。 

 

老朽化した構造物

 

 

国土交通省登録資格の現状 

2024年(令和6年)2月15日時点までに10回の公募を行い、全389資格が登録されており、国土交通省では、「国土交通省登録資格」の保有者に対して、総合評価落札方式において、管理技術者の要件とするケースや、技術力評価で加点評価するなどの措置を実施し活用を促進しています。 

 

  • 計画・調査・設計分野:95資格
  • 点検・診断などの維持管理分野:293資格 
  • その他横断型分野:1資格(測量(UAV測量)) 

合計:389資格 

 

登録資格の分野 

上述に記載の制度導入の背景・目的のように、我が国では、高度経済成長期に乱建設した社会資本(インフラ構造物)が同時期に急速に老朽化による補修・補強・改修を迎えているため、当該構造物である橋梁(道路・鉄道)、トンネル、水門、上下水道、港湾、鉄道などの社会資本の点検や診断、企画・計画・調査・設計に必要とされる民間資格が該当します。

現在では、上記分野で389資格、延べ17万人の資格保有者がおり、計画・調査・設計業務では7万人、点検・診断等業務では10万人が資格保有者として集計されています。 

 

鉄道

 

 

国土交通省登録資格の活用状況 

令和4年度発注業務で、テクリス(工事実績のデータベースを通称「コリンズ」測量調査設計業務実績のデータベースが通称「テクリス」)に登録された業務の記載事項より計画・調査・設計業務に該当するものを抽出した結果、点検・診断等業務では、管理技術者を求めている業務の約4割、担当技術者を求めている業務の約7割で登録資格保有者が従事している結果となりました。

計画・調査・設計業務では、管理技術者を求めている業務の約4割、担当技術者を求めている業務の約6割で登録資格保有者が従事している結果となりました。 

従って、国土交通省登録資格を有した技術者が関わることにより、点検・診断などの維持管理業務において、より一層の品質の向上が期待される結果であることが分かります。

また、国土交通省の発注業務における入札(総合評価落札方式等)では、管理技術者の要件として以下の項目を位置付け、条件を満たす者であることを要件としています。 

 

  1. 技術士、博士(※研究業務等高度な技術検討や学術的知見を要する業務に適用) 
  2. 国土交通省登録技術者資格 
  3. 上記以外のもの(国土交通省登録技術者資格を除いて、発注者が指定するもの) 

 

技術力の評価においても登録資格を有する技術者を配置する場合には、下記の通り加点評価しています。 

 

▷管理技術者の評価例 

1 国家資格・技術士 3点
2 国土交通省登録資格 2点
3 上記以外の民間資格 1点

 

▷担当技術者の評価例 

国家資格・技術士
国土交通省登録資格
3点
上記以外の民間資格 1点

 

ドローン免許も国土交通省の登録資格に? 

国土交通省の登録資格について、最近の大きな変化の一つは「ドローン免許」が含まれるようになったことです。

2022年12月5日にドローンの資格が国家資格として評価され業務上のドローンの活用の増加、ドローン関連業務への関心の増加に寄与しています。 

 

ドローン免許

 

国土交通省では、課題の一つに老朽化した社会インフラの適切な維持管理を掲げており、点検業務などでドローンを活用して省力化・省人化する取り組みを推進しています。

ドローンを活用することで足場の設置が不要になり生産性が向上するケースや災害時の迅速な状況判断にも活用できます。

昨今のAIやIoTとの連携することで遠隔でも高精度な照査が可能になります。

ドローン技術の進展や民間資格(JUIDAを例に)違いについても解説します。 

 

 

ドローン免許の進展 

2022年12月5日から無人航空機の新制度が開始され、機体認証、無人航空機操縦者技能証明、運航に係るルールが整備されました。

現行のレベル1~3飛行に加えて、レベル4(有人地帯・第三者上空での補助者なし目視外飛行を指す)飛行が可能となったことが大きな特徴です。

国土交通省のドローン国家資格は、正式名称を「無人航空機操縦士」といい、ドローンを運用するために必要な知識や技術を身につけ、国家資格として認定される制度です。 

 

国土交通省とJUIDAの違い 

JUIDA(ジュイダ)とは一般社団法人 日本UAS産業振興協議会のことを指します。

本協議会は、無人航空機の新たな産業・市場の発展を目的として、運行ルールを定めた安全ガイドラインの策定やドローン操縦者の認定を行っています。

従って、JUIDAの「無人航空機操縦技能」は、民間団体である日本UAS産業振興協会が発行する資格であり、無人航空機操縦者技能証明は国土交通省が発行する資格とは異なります。 

 

JUIDA免許国家免許
用途 許可・承認申請の省略
ドローン運用に関する知識・技能の習得
許可・承認申請の省略・簡略化
Level4などの特殊な状況下での飛行
講習機関JUIDA認定スクール登録講習機関
試験機関JUIDA認定スクール指定試験機関
ライセンス発行者JUIDA国家交通大臣
費用各スクールで独自に決定各登録講習機関が決定

 

 

まとめ 

国土交通省の「登録資格」について理解できたでしょうか?

国土交通省が発注した国土交通省登録資格の対象となる点検・診断業務について、技術士や国土交通省登録資格、実務経験等を要件として求めていますが、実態として国土交通省登録資格の保有者が業務件数の約6割に配置されていたことが確認できました。

このように、国土交通省登録資格を有した技術者が関わることにより、点検・診断業務などの一層の品質の向上が期待されています。

更に、点検・診断等の業務において、その資格保有者を総合評価落札方式で加点評価するなど積極的に活用するとともに、地方公共団体等での更なる活用に向けて周知を図っていることを理解できたと思います。 

 

また、新しく登録資格とされたドローン免許に関しても背景やトレンドを紹介しました。

技術者不足が顕在化していく現代においてICT、IoT、AIなどを用いて業務の機械化が促進されている今、ますますこのような動きがみられると思います。

これから新しく管理技術者や主任技術者のように保有資格が評価される立場で案件に従事することを考えている人にとって、本内容を役立てていただけることを願っています。 

 

 

 

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