新建設コンサルタント株式会社

Construction column

建設コラム

発注者支援業務で求められる資格とは?
取っておきたい資格を徹底解説! 

 

発注者支援業務を受注するとき、求められる資格要件について徹底解説します。

本記事では、保有すべき資格の一覧を紹介し、今後発注者支援業務を受注する企業への転職などにも有利になるように詳細まで補足しているため、発注者支援業務を経験したい人、今後発注者支援業務を実施している企業へ転職を目指いる人など多くの人に役立つ内容となっています。 

 

 

発注者支援業務とは? 

発注者支援業務とは、別記事「発注者支援業務とは」にて詳しく記載していますが、国土交通省やNEXCO東・中・西日本、UR都市機構などの公共事業の発注者が本来行うべき業務(工事監理業務や積算業務)を代わりに行う業務を指します。 

 

発注者支援業務

 

 

発注者支援業務で求められる資格 

それでは、具体的に発注者支援業務を行う上で求められる資格について紹介します。

一般的には下記に記載の資格が要件として求められます。

NEXCO東・中・西日本などは、国土交通省と異なり、独自の制度によって区分(管理員I、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ)を分けて要件としておりますが、基本的には下記に記載の資格で網羅されています。 

 

  • 技術士 
  • 技術士補 
  • 1級・2級土木施工管理技士 
  • RCCM 
  • 一般社団法人 全日本建設技術協会の公共工事品質確保技術者(I)(II) 
  • 土木学会 土木技術者(特別上級、上級、1級、2級) 
  • NEXCOの場合(管理員I、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ) 

 

それでは、各資格について詳しく解説していきます。 

 

 

技術士 

国家資格である「技術士」とは技術系職にとって最高峰の資格であり、土木業界では一定の経験と能力を有することを保証する資格です。 

 

技術士制度について解説すると、「科学技術に関する技術的専門知識と高等の専門的応用能力及び豊富な実務経験を有し、公益を確保するため、高い技術者倫理を備えた、優れた技術者の育成」を図るための国による資格認定制度です。 

 

技術士試験は、第一次試験、第二次試験に分けて実施され、一次試験に合格して得られる資格である「技術士補」については後述します。

第二次試験を合格して得られる資格が「技術士」であり、その分野は文部科学省令で定める技術部門(機械部門、建設部門、上下水道部門など計20の技術部門から、1部門を選択して受験します。)ごとに実施されます。 

 

第二次試験は、受験資格を得るためにも一般の人の場合、第一次試験合格後に4~7年の実務経験を必要とするため受験ハードルの高い資格です。(7年を超える実務経験を有していれば、受験できます。)

加えて、第二次試験(特に建設部門)では合格率10%未満と狭き門であることが分かります。

上記背景からも技術士の資格保有者は、発注者支援業務の受注においても大きく評価される資格であり、所属の会社からも重宝されます。 

 

技術士

 

 

技術士補

国家資格「技術士補」とは、将来的に「技術士」になる人材を育成することを目的とした資格であり、特定の技術系の学部(大学)課程を修了したことと同義の知識・能力を有することとされています。

具体的には、指定の大学の土木(JABEE認定された)学科を卒業と同時に「修習技術者」として登録され、登録することで技術士補となれます。

 

従って、本資格のみで高評価を受けることは難しいですが、本資格を保有し、経験年数を積むことで第二次試験の受験・合格を目指すことを前提に転職では高評価を受ける場合もあります。

一方で、第一次試験の合格から第二次試験の合格までは、4~7年の実務経験を有することから長期的な視点が必要になるため即戦力として期待することが難しい弱点があります。

発注者業務を受注する上では、加点されるほど重要度の高い資格ではありませんが、転職などで経験者や一定の知識・能力を保有していると判断される資格です。 

 

1級・2級土木施工管理技士 

土木施工管理技士とは、道路や橋、トンネルなどの施工計画の作成や、施工管理を行うときに役に立つ国家資格です。

国土交通省をはじめNEXCO東・中・西日本などの民間企業が発注する業務の中で、監理技術者・主任技術者などの責任者として資格要件となる資格です。

現場や案件を管理するために重要な資格であり、受注企業は受注案件を増やせるためにも転職時などには評価される資格となります。

発注者支援業務においても同様に重宝される資格のため、積極的に取得を目指すべき資格です。 

 

1級・2級土木施工管理技士

 

 

RCCM 

 RCCMとは、シビル コンサルティング マネージャー(Registered Civil Engineering Consulting Manager)の略称で一般社団法人「建設コンサルタンツ協会」が実施している民間資格です。

本資格は、建設コンサルティング業務の管理技術者や照査技術者に応募する際に優位に評価される資格であり、河川、トンネル、都市等の工事種別の全22分野に分かれており、試験で取得した分野の専門技術者として一定に技術知識、経験があることを保証するものです。 

 

上述の通り、一般的には建設コンサルタント業務を行うための資格なので、現場の管理や品質・安全性の照査業務などが主な役割の時に高評価を得ます。

取得分野に対する高い知識と豊富な経験を保証できるため、待遇の向上や転職などのステップアップを目指す人におすすめの資格になります。

RCCMは民間資格ではありますが、建設業界では一定の認知度があり、国土交通省をはじめ民間の発注機関でも重視される専門技術に携われる知識と経験を有することを保証する資格です。

発注者支援業務においても、RCCM(またはそれと同等の資格)保有者が優位に評価されます。 

 

一般社団法人 全日本建設技術協会の公共工事品質確保技術者(I、II) 

公共工事品質確保技術者とは、発注者を支援するために一般社団法人 全日本建設技術協会が認定する一定の技術力・知識・知見を持った技術者を示す民間資格であり、平成17年4月より施行された品確法を機に運用を開始(平成20年)された制度です。

資格区分は、ⅠとⅡの2種類あり、公共工事品質確保技術者Ⅰのみが総合評価落札方式などの導入支援業務や審査業務を外部委員として担うことができます。

その他の発注支援業務(設計積算補助、技術審査補助、監督補助、検査補助)はどちらの資格保有者であっても従事可能です。 

 

公共工事品質確保技術者

 

 

土木学会 土木技術者(特別上級、上級、1級、2級) 

土木学会が認定する土木技術者資格制度として、資格区分には特別上級、上級、1級、2級の4種類があります。

本資格は、主に実務に関わっている土木技術者を対象にその実務能力を評価して土木技術者のキャリアアップを提示して、次世代の土木技術者育成の道しるべとなることを期待して2001年に制度化されました。 

 

発注者支援業務に従事する際に評価される資格区分は、特別上級、上級、1級があり、実務経験が12年以上で受験資格が得られる上級を保有していることで差別化が図れます。

具体的には、民間企業(NEXCO)では最上位の管理員Ⅰになることができるため、高評価を得られる資格と言えるでしょう。 

 

NEXCO東・中・西日本の場合(管理員I、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ) 

NEXCO東・中・西日本では、工事発注や監督業務(補助を含む)を行う場合、管理員という立場に属することが求められます。

管理員には、I、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの階層があり、ここではそれぞれの階層を詳しく解説します。 

参考資料:NEXCO東日本(管理員の格及び資格要件等)

 

NEXCO東・中・西日本

 

 

管理員I 

管理員Ⅰでは、管理員Ⅱで管理技術者として3年以上の実務経験があることに加えて、技術士(総合技術監理部門、建設部門、農業部門、森林部門)、RCCM、土木学会特別上級または上級技術者、1級土木施工管理技士のいずれかの資格を保有していることが求められます。 

 

管理員Ⅱ 

管理員Ⅱでは、管理員Ⅲとして2年以上の実務経験があることに加えて、次のいずれかの資格を持っている必要があります。

技術士(総合技術監理部門、建設部門、農業部門、森林部門)、RCCM、土木学会特別上級・上級・1級技術者、1級土木施工管理技士のいずれかの資格を保有していることが求められます。 

 

管理員Iとの資格の違いは、土木学会「1級技術者」の資格でも容認されることです。 

 

管理員Ⅲ 

管理員Ⅲでは、業務経験の要件が無く、下記資格のいずれかを保有していることが要件となります。

技術士(総合技術監理部門、建設部門、農業部門、森林部門)、技術士補(建設部門、農業部門、森林部門)、RCCM、土木学会特別上級・上級・1級・2級技術者、1級・2級土木施工管理技士などNEXCO東・中・西日本が挙げている資格要件の全ての資格が該当します。 

 

管理員Ⅳ 

管理員Ⅳは、若手技術者が参入できるように平成30年6月に新設され、2級土木施工管理技術検定における指定学科卒業者等であれば、管理員の立場で仕事に従事できます。 

 

資格取得の支援 

土木・建築(建設)系の資格は、受注要件にも関わってくるため、現在では、ゼネコンや建設コンサルタントに加えて多くの派遣会社でも資格取得の支援体制を構築しています。

具体的には、資格手当として、合格一時金やベースアップする企業が多数です。 

 

資格取得の支援

 

 

資格要件の緩和 

昨今の建設業界の人手不足や技術者の減少を鑑みて、近年では、各官公庁の中でも資格要件を緩和させるケースが増えてきました。

1つの履行場所(事務所、管理事務所、管理所、出張所など)で複数の担当技術者が配置されている場合は、1名に限り無資格者でも構わないという緩和を行っている官公庁が多いことが現状です。

ほかにも、河川巡視支援業務やダム監理支援業務、道路許認可審査・適正化指導業務、用地補償総合技術業務などでも資格要件が緩和されています。

 参考資料:国土交通省 関東地方整備局 発注者支援業務・公物管理補助業務等の方針について(P33) 

 

 

まとめ 

発注者支援業務に従事するに際し、求められる資格取っておいた方が良い(高評価となる)資格を理解できたでしょうか。

本記事では、各資格に対しての解説に加えて、発注機関ごとに求められる資格区分別の要件についても説明しました。

今後、発注者支援業務を担う企業への転職など、発注者支援業務に興味のある人に特に役立つ内容だったのではないでしょうか。

資格取得にも一定の時間を要するため、高評価される資格の取得を目指しましょう。 

 

 

 

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