新建設コンサルタント株式会社

Construction column

建設コラム

施工管理技士が転職する理由は?
転職時に活かせる資格や経験について 

 

建設業において施工管理技士が転職を考える時、どのような理由が多いのでしょうか?

本記事では、発注者、設計者、現場監督など、異なる立場で建設業に従事してきた経験から、転職を考える理由についても解説しています。

さらに、転職時に活かせる資格や経験についても説明しているため、転職を考えている人にも役立つ内容となっています。 

 

施工管理技士が転職する理由は

 

 

施工管理技士はどんな理由で転職を考える? 

施工管理技士とは、建設業において特定業種の技術を認定した国家資格を保有している人を指します。

主に、発注者やゼネコン、建設コンサルタントなどの工事現場に関わる人が保有しています。 

 

本記事では、まず初めに「施工管理技士が転職を考える理由」について、施工管理技士の資格を保有し、発注者、設計者、現場監督と全ての立場で従事した経験からその理由を解説します。

特に転職を考える傾向にあるのが現場勤務者に偏るため、現場実務の観点からが主な説明になることご理解ください。 

 

それでは、施工管理技士が転職を考える理由について以下の6点から解説します。 

  1. 労働条件の不満 
  2. 人間関係の不満 
  3. 給与の不満 
  4. 評価の不満 
  5. ミスマッチ 
  6. 家庭の事情 

 

①労働条件の不満 

最も理由として多く挙げられるものが「労働条件への不満」です。

労働条件とは、残業時間や年間休日の少なさ、転勤など雇用に際し、労働者と使用者の間で交わされる雇用に関する全ての条件です。

中でも最も多いのが残業時間です。 

 

建設業では他産業と比較して、労働時間が長く休日の取得率も低い傾向にあります。

特に現場勤務では、その傾向が顕著であり、日中の現場勤務に加え、現場を閉めた後に、事務作業が多く残されているため労働時間が長い特徴があります。 

 

最近では、発注者の指示で現場稼働が週5日と土・日・祝日が休みの現場が増えてきましたが、未だ土曜日・祝日は現場稼働で、日曜日のみ休工となる現場も少なくありません。

その背景には、発注の仕方と協力会社の契約形態に大きな原因があります。 

 

公共事業の発注は、競争入札が一般的であり、各社が最短の工期で最安値を目指して応札します。

現場は天候の影響に大きく左右されるため、雨や雪など天候が悪い時には土工事やコンクリート打設ができず、工期は遅れる傾向にあります。

加えて、協力会社として下請けしている作業員は、稼働に応じて給与を得る契約であることが多いため、土曜日に稼働している現場の方が稼げると感じ両者(元請と下請け)にとってデメリットの方が大きく感じることが多いです。

本理由は、その一端ですが、現場監督のように日雇いでない人にとっては、単純な残業となってしまうため残業時間の増加、年間休日の減少につながります。 

 

また、労働条件の中で残業に次いで挙げられることが多い理由に「転勤」があります。

公共事業は、現場で社会資本(構造物)を造る仕事のため、その現場ごとに勤務地が変わります。

単身で転勤を行う人にとっては大きな理由にならなかったとしても、恋人や家族がいる人などにとって転勤は転職を考えるきっかけになります。

 

労働条件の不満

 

 

②人間関係の不満 

一緒に働く人間関係は、転職を考える大きな理由になり得ます。

建設業従事者は、他産業と比較して昔ながらの体育会系な人が多く、若者の価値観とズレた感覚の人も多いことが現状です。

単純に、自分に対して悪意を持って接してくる人、無気力で仕事を人に押し付ける人、威圧的な人の他にも、女性差別や女性軽視の発言、古い考え方が嫌になる人も多く、人間関係を理由に辞める人も多いのです。

特に入職したての若者が辞める時は、人間関係を理由にすることが多いと感じます。 

 

③給与の不満 

建設業は他産業と比較して給与水準が高い傾向にあります。

しかし、その一方で、労働時間も長いことから給与が少ないという理由で転職を考える人がいます。

同業種の企業は、会社規模によって給与水準が異なるため、業務内容に大きな違いがありません。

そのため、同じ業務内容であれば大手ゼネコンなどの給与体系の良い企業へ転職したいと考える人もいます。

大手ゼネコンであれば会社規模が大きいことから大型工事を受注でき、やりがいにも繋がります。 

 

④評価の不満 

他産業と共通して、いくら頑張っても上司に評価されないという理由で転職を考える人もいます。

建設業界は、経験工学と呼ばれ若手が能力を発揮して実績を評価してもらいにくい環境です。

そのため、人事評価が形骸化していることに嫌気がさして転職を考える人もいます。

このような悩みは、上昇志向が強く、自分のスキル・能力を伸ばして結果を出したいと考える人に多い傾向にある一方で、他産業に挑戦しても同じような不満を持ちやすいことも特徴として挙げられます。 

 

評価の不満

 

 

⑤ミスマッチ 

建設業にも一定の割合で、やりたいことのミスマッチにより転職を考える人がいます。

専門性を高めたい分野や現場への配属が叶わず、長期に渡り、希望と異なる業務に従事することはやる気を喪失し、転職を考える理由に十分なり得ます。 

 

一方で、ミスマッチを理由にする人は、関連する資格取得を目指したり、専門分野への配属を約束する企業へ転職するなど、転職活動をする際にも努力が必要になります。 

 

⑥家庭の事情 

上述の労働条件の章で述べた通り、家族を持った状態で現場ごとに勤務地が変わることに抵抗感を感じる人もいます。

特に子供を学校に通わせているケースでは、単身赴任になってしまうことが多く、現場中心という施工管理の特徴から問題を解決することが難しいでしょう。 

 

さらに、親の介護などを理由にどうしても転勤ができないケースがあります。

多くの企業は、このようなときに転勤対象から外すなどの対応をしてくれますが、100%叶うわけではないことから転職を考える人もいます。 

 

施工管理の有資格者は転職しやすい? 

次に、実際に転職市場で資格保有者がどのような評価をされるのかについて解説します。

慢性的な人手不足の建設業界では、無資格者でも求人はあります。

一方で、大手ゼネコンや地方を代表するゼネコンや設計事務所では、資格保有者が非常に有利になるのです。

ここでは、資格保有者が転職をしやすくなる理由を以下の3点にまとめて解説します。 

 

施工管理の有資格者は転職しやすい?

 

 

  1. 業務内容への理解と慣れ 
    施工管理技士の資格保有者は、ゼネコン経験者であることが多く、全国転勤を避けたくて地方の中小ゼネコンに転職することがあります。
    地方企業では、全国転勤などは少なく、希望のライフスタイルに合わせて生活を工夫できるメリットから都市部から地元に戻る人が多く、このような人は、他社で類似の経験があることからミスマッチを防げるため、転職で有利に働きます。 

    一方で、反対に地方の中小ゼネコンで実績を積み、資格取得後に大手ゼネコンに転職するケースもあります。
    やはり給与体系では地方の中小企業よりも大手ゼネコンの方が良いため転職を検討するケースなどが理由として該当します。 

  2. 監理技術者としての要件を満たしている 
    現場では、現場監督に主任技術者や監理技術者を配置する義務があるため、1級施工管理技士等の資格を保有していることが求められます。
    そのため、地方ゼネコンでは、受注件数を増やすため、施工管理技士等の有資格者に高待遇のオファーを出すこともあります。 


  3. 大手ゼネコンに転職可能 
    上述の理由から、大手ゼネコンであっても受注件数を増やすために有資格者を常に募集しています。
    有資格者は高待遇となるケースも多く、大手ゼネコンであっても変わりません。 

 

転職に有利な施工管理技士の資格

施工管理技士にとって転職に有利になる資格を解説します。

施工管理技士の1級などは、管理技術者の要件になっていることから、企業にとって工事の受注数を増やすことができるメリットになります。

そのため、地方中小ゼネコンから大手ゼネコンまで建設現場では欲しい人材となることができます。 

 

施工管理技士の資格には、1,2級建築施工管理技士と1,2級土木施工管理技士の2種類があります。

その他にもRCCM(シビルコンサルティングマネージャー)という民間資格ではありますが、建設業界での技術資格認定となり、国土交通省でも重視されている専門技術に携われる知識と経験のある技術者であることを証明する資格や建設業界の最高峰の資格である技術士を保有している人は非常に稀有な人材となれます。 

 

転職に有利な施工管理技士の資格

 

 

まとめ 

施工管理技士が転職を考える理由を理解できたでしょうか?

現在、転職を考えている人にとっては、資格取得や転職先について参考になるものがあれば幸いです。

建設業では、資格保有者が有利な場合が多いため、この記事を読んで資格取得を前向きに検討する人や、資格保有者が転職するきっかけになる人が増えることを願っています。 

 

 

 

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