新建設コンサルタント株式会社

Construction column

建設コラム

現場監督は資格が不要?
採用を目指すなら取っておきたい資格 

 

現場監督は誰でもなれるのでしょうか?

建設業に従事していてキャリアアップを目指している人、これから新規入職を考えている人にとって、現場監督の役割と業務内容に加えて、現場監督を目指すときに取っておきたい資格についても学べる役に立つ内容になっています。

 

現場監督の仕事内容

 

 

現場監督の仕事内容 

現場監督とは、工事現場において、マネジメントする立場の人を指します。

本記事では、現場監督の具体的な業務内容に加えて、資格の有無、採用や転職を目指すときに保有しておきたい資格についても解説します。 

 

それでは、現場監督の仕事内容から解説します。 

現場監督は、工事全体を図面通りに仕上げるうえで、工期・品質を順守し、無事故・無災害で環境に配慮した運営を行いながらも自社への利益をあげなくてはなりません。

これら業務を総称して施工管理業務といい、具体的には以下の5点を纏めて5大施工管理(QCDSE)と呼びます。 

 

  • 品質管理(Quality) 
  • 原価管理(Cost) 
  • 工程管理(Delivery) 
  • 安全管理(Safety) 
  • 環境管理(Environment) 

 

5大施工管理

 

 

品質管理(Quality) 

構造物の建設を行うとき、設計図面や施工方法は、規定の基準や法令に遵守して作成されています。

その上で、実際に施工を行うときに図面に準拠して行われているかを管理する業務を品質管理といいます。

所定の品質を担保している材料を所定の寸法で築造し、工事品質の維持を図ります。 

 

原価管理(Cost) 

原価管理とは、受注金額の中で工事を行うことだけではなく、協力会社へ利益を出してもらえるような運営を行いつつも、自社への利益の最大化を目指すことです。

通常、工事発注額の10%を利益としてあげることができれば優秀な原価管理ができていると称されます。

しかし、下請けに皺寄せを与えたり、当該地域の部材や材料を買い叩いて、その土地の経済発展を阻害することがあってはなりません。

原価管理は、主として主任技術者や監理技術者などマネジメント層の担当が行うケースが多いですが、若い現場監督でも意識することでその結果は大きく変わります。 

 

工程管理(Delivery)

現場は基本、屋外での施工になるため天候の影響に左右されやすい特徴があります。

雨季や台風の時期には、土工事やコンクリート工事の進捗は落ちてしまいます。

そのため、工期通りに工事を進めることが非常に難しく、基本的に想定外の事象が発生して遅れてしまう傾向にあります。

工程表とは、最短で工事を進めたときに達成できるケースであることが多く、安全性を担保しつつも、どの程度、複数の工種を並行して進めることができるかが現場監督の腕の見せ所なのです。 

 

安全管理(Safety) 

工事関係者のみならず、第三者として工事現場の周辺住民を含めて無事故・無災害を徹底することが非常に重要です。

都市土木・建築現場のように、住民の生活圏の近くで行う工事は、第三者への注意喚起を徹底している傾向にある一方で、ダムやトンネル工事など周辺に住民がいない場合、安全対策が疎かになりがちです。

現場監督として、現場従事者が危険な状態にならないように徹底しつつ、第三者への影響の最小化を図ることが重要です。 

 

環境管理(Environment) 

安全管理と合わせて重要視されるのが環境管理です。

安全な現場を維持することに加えて、周辺環境の維持を行うことも重要なのです。

具体的には、河川工事では、汚泥や油など、水質に影響を及ぼす可能性の高いものに対して対策を実施したり、近隣に住民の生活圏がある場合には、粉塵、騒音、振動が影響しないように基準値を設けて管理することが求められます。 

 

 

現場監督は無資格でもできる? 

さて、ここで改めて現場監督に資格が必要かという冒頭の問いに戻ります。 

工事現場において、無資格者でも現場監督になることは「可能」です。

ゼネコンに就職した新社会人が1年目から現場監督をやっていることがこの現状を示しています。

ただし、現場の種類や規模によっては資格が必須なケースがあります。 

 

そもそも、現場監督という資格は存在していないことをご存知でしょうか?

現場によっては、発注時に、主任技術者や監理技術者を必ず1人以上配置することを求めることがあります。

この主任技術者や監理技術者を現場監督と称するケースが多いことから混乱を招いていますが、小規模な現場では、主任技術者や監理技術者を配置することが義務ではない現場もあることから、無資格者であっても現場監督として従事することが可能なのです。

 

現場監督は無資格でもできる

 

 

主任技術者の配置が不要なケース 

工事現場において主任技術者とは、原則、業種や規模に関係なく全ての現場で配置される技術者です。

しかし、2020年10月の建築業法改定に伴い創設された「専門工事一括管理施工制度」より、一定の要件を満たせば主任技術者の配置を免除できることになりました。

その要件とは以下になります。

 

  • 特定専門工事であること 
  • 請負代金が一定未満であること 
  • 書面による合意があること 
  • 元請の主任技術者が置かれていること 
  • 再下請をしないこと 

 

特定専門工事とは、現在のところ型枠工事か鉄筋工事のいずれかの場合に限られます。

請負金額の上限は、3,500万円未満です。

合意を図る場合、元請負人、下請負人の合意に加えて発注者からの承諾も必要になります。

元請人の主任技術者には、同種の工事で1年以上の実務経験が必要であり、他現場を持ち合わせていない、専任状態である必要があります。

最後に、下請負人が再下請けを出していないことが条件です。 

 

 

現場監督にかかる資格要件 

次に、現場監督として主任技術者や監理技術者としての資格要件について解説します。

現場監督であれば、上述の通り、無資格でも従事可能ですが主任技術者や監理技術者は違います。

それぞれの立場で従事するために必要な資格要件に関して解説します。 

 

現場監督にかかる資格要件

 

 

主任技術者になるための要件 

主任技術者になるためには、2つの方法があります。

1つは学歴要件を満たすことで、もう1つは、定められた資格を取得し、かつ一定の実務経験を有することです。 

 

  • 学歴に基づく要件 
    • 高等学校の指定学科を卒業後5年以上 
    • 高等専門学校の指定学科を卒業後3年以上 
    • 大学の指定学科を卒業後3年以上 
    • 上記3ケース以外の学歴では10年以上の実務経験実績 

 

  • 資格に基づく要件 
    1級もしくは2級の国家資格(建築士や施工管理技士)を有することで主任技術者の要件を満たします。
    従って、最短で主任技術者を目指す場合は、国家資格の取得が近道になります。 

 

監理技術者になるための要件 

監理技術者になるためには、受注する建設業種ごとに定められている資格要件を満足する必要があります。

主任技術者と最も異なる点は、実務経験を積み重ねるだけでは特定の業種において監理技術者になることができないことです。 

 

全29種の建設業の内、土木一式工事、建築一式工事、電気工事、管工事、鋼構造物工事、舗装工事、造園工事の7業種は、指定建設業とされており、総合的で高度な施工技術や監理能力が必要になるため、1級国家資格(建築士・施工管理技士)、技術士の資格保有、又は国土交通大臣の認定が条件になります。 

 

つまり、監理技術者を目指す場合は、積極的に土木・建築施工管理技士の1級、1級建築士などの国家資格取得を考えることが効果的だと言えます。 

 

監理技術者になるための要件

 

 

現場監督での採用を目指すのにおすすめの資格は? 

現場監督として、主任技術者や監理技術者としての要件を満たしている場合、転職で高評価を得やすくなります。

そのため、もし、これから現場監督として役に立つ資格の取得を考えるのであれば下記順で考えてみてはいかがでしょうか。 

  • 技術士(建設業界での最高峰の資格です) 
  • 1級土木施工管理技士 
  • 2級土木施工管理技士 
  • 1級建築施工管理技士 
  • 2級建築施工管理技士

(1級を持つことで主任技術者や監理技術者の資格要件を満たせます) 

 

以下は、専門の業種で役に立つ資格になりますが、保有することで一定の技術分野を理解していることを示せます。 

  • 電気工事施工管理技士 
  • 電気通信工事施工管理技士 
  • 管工事施工管理技士 
  • 造園施工管理技士 
  • 建設機械施工技士 

 

建設コンサルタントや設計事務所とは異なるため、RCCM(シビルコンサルティングマネージャー)や建築士などよりは施工管理技士などの資格の方が高く評価されるので、自分の目指す職種に最適な資格を検討しましょう。

  

現場監督での採用を目指すのにおすすめの資格

 

 

まとめ 

現場監督の業務内容や資格について理解できたでしょうか。

現場監督は、無資格者でもなることはできますが、主任技術者や監理技術者など、現場をマネジメントする役割で従事したいとき、転職などで高評価を得たいときに保有を検討したい資格についても理解できたでしょうか。

本記事を通して資格取得に向けて挑戦する人が増えることを願っています。 

 

 

 

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