新建設コンサルタント株式会社

Construction column

建設コラム

建設コンサルタントとは?
業界の動向と将来性について徹底解説 

 

本記事では、建設コンサルタント業界の市場、動向や将来性について解説します。

建設コンサルタント業界は、社会資本の老朽化と激甚化する自然災害の増加を背景に、今後ますます需要が増していくことが考えられます。

本記事を通して建設コンサルタントの仕事内容に興味を持ち、新規入職や転職を検討する人が増えると幸いです。 

 

建設コンサルタント業界

 

 

建設コンサルタントの役割とは? 

建設コンサルタントは、社会資本整備において、主として調査・計画・設計などの業務において、事業者の業務執行を支援し、パートナーとしてその役割を担ってきました。

しかし、近年では社会資本整備を取り巻く現状が大きく変化してきており、事業者と国民とのコミュニケーションの重要性が増しています。

具体的には、事業者が国民に対して説明責任を果たし、密なコミュニケーションを図ることが求められているのです。

このため、建設コンサルタントは、従来の役割に加えて、関係者間の合意形成や案件を包括的にマネジメントする発注者の代理業務の役割、第三者の立場で設計成果の審査や照査、施工管理を実施する役割を担う需要が増してきています。 

 

建設コンサルタントの役割

 

  

発注者支援業務 

建設コンサルタントの役割が社会資本整備において拡大してきていることを上述しました。

そこで、最近増加傾向にある「発注者支援業務」という建設コンサルタントの重要な業務の一つについて解説します。

発注者支援業務とは、別記事「発注者支援業務とは?」にて詳しく記載していますが、国土交通省やNEXCO東・中・西日本、UR都市機構などの公共事業の発注者が本来行うべき業務(工事監理業務や積算業務)を代わりに行う業務のことです。

業務内容としては、具体的に、

①工事監督支援業務、②資料作成業務、③積算技術支援業務、④技術審査業務

などを行い、発注者の代理人として成果品質を第三者目線で担保するための業務です。 

 

 

建設コンサルティング業界の課題と今後について 

建設コンサルタント業界の市場規模は5,000億円程度であり、建設業における施工監理(ゼネコン)と比較すると大きくありません。

ただし、2020年以降のコロナ禍の影響拡大を背景に多くの業界で減収・減益を記録する中で、建設資機材の高騰などの逆風がありつつも、建設コンサルタント業界は好調に推移しています。 

 

本業界が堅調である大きな理由の一つに社会資本の老朽化と防災需要の2点をあげることができます。

現在、高度成長期に建設された社会資本が一斉に建設後50年を迎えており、老朽化対策が必要になってきています。

加えて、首都直下型地震や南海トラフ大地震などの予測、気候変動にともない激甚化する台風、豪雨、洪水、土砂崩れ、地盤沈下などの影響により防災需要の増加が見込まれており、このような背景から社会資本の老朽化と防災需要は今後ますます重要度が増し、建設コンサルタントの売り上げに好影響を及ぼすでしょう。 

 

今後の課題

 

 

異業種分野への進出 

建設コンサルタントは、従来の公共事業における調査・計画・設計業務において、対応できる業界を増やしています。

具体的には、地方自治体との繋がりを強化し、農業や観光、情報通信に加えて、発電関係にも新領域の開拓を進めています。 

 

新技術への投資 

昨今、国土交通省をはじめ民間を含む多くの発注機関が、建設業におけるDXの推進を心掛けています。

2024年問題を代表とする労働生産性が低い建設業界の発展を目指して、これまで人の手に頼って行われていた労働集約型を機械に代替する資本集約型へ移行を進めています。

特に、BIM/CIM導入をはじめとした、AIやICT機器の活用を推進し、業務の自動化を目指しています。 

 

老朽化が加速する多くの社会資本に対して、AIを活用することで維持管理業務の高精度化、見落とし防止や知見の水平展開が容易になり、熟練技術者の手に依存していた業務を幅広くカバーできるようになるメリットもあります。 

 

新技術

 

 

海外事業への取り組み 

土木・建設分野ともに、建設コンサルタントの海外事業への取り組みも進んでいます。

コロナ禍で一時の停滞は見せつつも、過去10年以上にわたり、受注実績は右肩上がりです。

受注の多くはODA(政府開発援助)分野ですが、先方政府発注の事業や先方民間発注など非ODA事業(PPP、民活案件)の受注も増えています。

業務分野としては、運輸・交通分野が最も多く、道路・橋梁、鉄道、港湾整備などインフラ整備が主たる事業分野です。

その他にも、社会基盤・通信、農業・畜産、林業・水産、鉱工業、エネルギーなど多くの分野へ参入しています。 

 

海外のコンサルティングサービスで求められる内容は日本のように細分化されておらず、コンサルタントは、企画・計画、立案から維持管理まで社会資本整備を一貫して担います。

一般的な資本整備は、以下の手順で整備を進めます。 

  1. 事業計画の策定 
  2. 実現可能性調査 
  3. 概略設計 
  4. 予備設計 
  5. 詳細設計 
  6. 施工監理 
  7. 運営・維持管理 

通常、②~⑤の一部、⑦に関わる国内コンサルティング業務と比較すると、海外のコンサルティング業務は①~⑦を包括して関われます。

事業計画に際しての助言、プロジェクトファイナンス、入札支援や運営・維持管理の最適な体制の提案、技術移転など様々な分野での活躍が求められています。 

 

設計業務

 

 

働きやすい労働環境への取り組み 

建設コンサルタント業界においても、ゼネコンと同様に公共事業が主な事業分野であるため、生産性向上に向けて制度の改良が課題です。

公共事業は、予算が単年度毎に決められるため、単年度発注が基本であり年間を通して業務量が平準化されていません。

従って、閑散期には人材や機材が有効に活用されておらず、如何にして工事発注量の少ない4〜6月の閑散期にも、業務を継続できるように、2か年国債等の複数年契約を推奨して繁忙期の分散化、業務量の平準化を推進していくかが課題となっております。 

 

その他にも、AIを用いた画像解析やロボットによる現場作業の省人化を推進することが課題です。

具体的には、これまで現場で熟練の専門技術者が目視確認していた点検業務をパソコン上の画像解析に転換することで現場に赴く必要が無く、AIによるコンクリートの有害ひび割れの検知精度の向上を図ることが可能になります。

更に加えて、単純な配筋作業にロボットを活用することで現場の省人化を図ることが可能になります。 

 

上記を推進する上で、ICT建機を使った施工が実現されてきていますが、それを適用できる工事発注量が少なく、十分に普及しているとは言えません。

また、ICT技術を最大限に活用するためには、調査・測量・設計・施工・点検・維持管理の全ての段階において三次元データを共有する必要があります。

しかし、現状では導入コストや人材確保が困難なため十分に進んでおらず、新しい機械やソフトウェア導入には初期コスト及び、維持管理コストが必要になるが、地方の中小企業などでは対応が難しい場合もあります。

そこで、i-Construction推進コンソーシアムによる産官学が連携し、新技術の発掘や企業間連携の促進、3次元データの利活用を推進する方法が解決策として考えられます。

更に、導入企業や地方公共団体等発注者に対して導入費用の上乗せや補助金制度を充実させることで普及に努めることでより働きやすい労働環境の実現へ進むと思われます。 

 

 

建設コンサルタントとして働くなら発注者支援業務 

建設コンサルタント業界の現状と将来について理解できたでしょうか。

これまで説明してきたように本業界は、建設業に欠かせない大きな役割を担っています。 

 

そこで、もし建設コンサルタントとして建設業に従事することを考えるようであれば、おススメの職種は「発注者支援業務」です。

発注者支援業務とは、上述の通り、発注者の代理人として第三者として成果品質の担保を行います。

給与体系も公務員に準じることから、みなし公務員として人気が高まっています。

加えて、国家プロジェクト規模の案件に関わることができることも大きな魅力です。

建設コンサルタントでは、大企業でしか大型案件に関わることが難しい現状があり、発注者支援業務として国家プロジェクト規模の案件に関わることができるのもやりがいに繋がります。 

 

働きやすい環境

 

 

まとめ 

建設コンサルタント業界の市場、動向や将来性について包括的に理解できたでしょうか?

これから建設コンサルタントを目指すときは、発注者支援業務、他業界、新技術・分野、海外事業など様々な分野へ発展することが見込めます。

本記事を通して建設コンサルタント業界へ新規入職、転職を考える人が出てきてくれると幸いです。 

 

 

 

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