新建設コンサルタント株式会社

Construction column

建設コラム

建設コンサルタントにおける技術管理者認定制度とは? 

 

建設コンサルタントにおける「技術管理者認定制度」とは、どんな制度でしょうか?

本記事では、技術管理者認定制度の概要に加えて、実際に申請するときの注意事項や留意事項と、記載例として活用できる諸元や規格・施工方法例を解説しています。 

 

技術管理者認定制度

 

 

技術管理者認定制度の概要 

建設コンサルタントにおける「技術管理者認定制度」とは、どんな制度でしょうか?

まず、技術管理者認定制度の概要について解説します。 

 

建設コンサルタントの登録規定において、登録を受けようとする建設コンサルタントは、部門ごとに当該登録部門にかかる技術上の管理をつかさどる専任者、つまり「技術管理者」を配置しなければならない決まりがあります。

技術管理者については、原則として技術士等としていますが、技術士と同程度の知識および技術力を有する者として国土交通大臣から認定された者を技術管理者として置くことも可能です。 

 

つまり、建設コンサルタントにおける技術管理者認定制度とは、当該登録部門における一定の実務経験を有している専任者について、国土交通大臣が技術士等と同等の知識および技術力を有する者として認定する制度のことです。 

 

参考:国土交通省 建設産業・不動産業 

 

建設産業・不動産業

 

 

認定申請の要件について 

次に、実際に認定を受けるための申請要件について解説します。

同じ組織に所属する技術者が以下の表のいずれかに該当する場合に認定がなされます。

ここで要件とは、後述する登録規程の解釈及び運用の方針(以下、解釈及び運用の方針)に記載されております。 

 

1)申請する部門の業務に関し、実務経験を30年以上有するとき。 解釈及び運用の方針2(3)③イ
2)大学又は高等専門学校を卒業後、申請する部門の業務に関し、実務経験を20年以上有するとき。 解釈及び運用の方針2(3)③ロ
3)申請する部門以外の部門で技術士登録を受けている者が、申請する部門の業務に関し、実務経験を10年以上有するとき。 解釈及び運用の方針2(3)③ハ
4)申請する部門の「RCCM資格試験」に合格し、その登録を受けている者で、(試験合格後)技術管理者又は技術士の指導※1のもとで当該部門の業務に関し、技術上の管理を行う業務※2の実務経験を5年以上有するとき。 解釈及び運用の方針2(3)③二
※1:技術管理者又は技術士の指導とは、申請する部門若しくは申請する部門以外の技術士又は技術管理者から、業務の技術上の管理に関する指導を受けたことを意味します。また、指導を受けた技術管理者又は技術士が、申請時点で建設コンサルタントに所属している場合は、解釈及び運用の方針2(3)②イの申請不可要件に該当しないかご確認ください。

※2:技術上の管理を行う業務とは原則、管理技術者、照査技術者又は主任技術者が行う業務とします。

参照:国土交通省 建設コンサルタント登録規程の解釈及び運用の方針 

 

認定申請の要件

 

 

留意事項 

次に認定を受けるための手続きに関して、注意事項と留意事項を解説します。 

  • 技術管理者は、専任かつ各部門で一人が選出されるため、同一の技術者が複数部門を重複して申請を行うこと、複数の技術者による同一部門の申請を行うことはできない。 
  • 認定の申請を行う建設コンサルタントの組織に所属していない技術者におかれては、申請対象外とする。 
  • 申請時点で(国家・地方)公務員や団体職員である技術者は、申請対象外とする。 
  • 認定を申請する部門にあらかじめ技術管理者がいる場合、申請を行うことはできない。
    ここで、現技術管理者の退職などにより認定後、速やかに技術管理者の変更を届け出ることが確実視されている場合は、その限りではない。 

 

また、同様に認定を受けた後であっても以下の4点に該当する場合、その効力が失われることに留意が必要です。 

  • 認定を受けた後、1年以内に技術管理者として登録しないとき。 
  • 認定を受けた後、所属していた建設コンサルタントを退職したとき。
  • 現況の報告書において、過去に認定された経歴を有する者の一覧に記載がないとき。 
  • 全登録部門の技術管理者が、認定を受けた技術者だけとなったとき。 

 

建設コンサルタント

 

 

記載内容の明確化 

上記の留意事項で述べた通り、昨今、技術管理者の認定申請における記載内容の明確化が求められています。

その背景には、建設コンサルタント登録規程において、記載に不明瞭な点が多く見られるからです。

認定申請を行う場合には、下記の事項について十分留意が必要です。 

 

申請書における実務経験の証明書には、認定の要件としている必要とされる実務経験年数に限らず、認定対象の部門に関わる全ての実務経験を記載することとしています。

ここで、記載する際は、申請する部門の実務経験だと分かるように以下の点に留意することが重要です。 

  • 実務経験年数の欄は、同時期に2つ以上の業務に従事したケースでは、期間の重複が無いように記載する。具体的には、1~6月までの6か月間に3業務で従事した場合、3業務の実務経験年数の合計が6か月を超えないように記載する。ここで、実務経験年数の累計欄には、各々のページ毎に累計の年月数で記載をすることとしている。
  • 業務内容の欄には、企業名、所属部課名、職名などを記載し、本人が従事した業務(設計や調査等)について、その契約名・施設等の諸元・規格や施工方法など本人の業務上の役割等について詳細に記載こととしている。

 

実務経験

 

 

ここで、諸元や規格、施工方法の記載について参考例を示します。 

部門記載が必要な諸元の例
河川、砂防及び海岸・海洋部門・河川の名称、水系名、級

・河川管理施設の名称(種類)、規模(延長、高さ等)

・ダムの種類、名称、諸元(高さ等)

・砂防施設の種類、名称、規模(延長、高さ等)

・水局海岸の名称

・水局海岸の海岸保全施設の名称、規模(延長等)
港湾及び空港部門・港湾の名称

・港湾施設の名称、規模(延長等)

・空港の名称

・空港施設の名称、規模(延長等)

・港湾海岸の名称

・港湾海岸の海岸保全施設の名称、規模(延長等)
電力土木部門・発電用施設の名称、規模(延長、高さ等)
道路部門 ・道路の名称(種類)、種・級区分

・道路の規模(延長、幅員等)

・構造物の名称、規模(延長、高さ等)
鉄道部門 ・鉄道路線における駅あるいは駅間、踏切、車両基地、停車場、操作場の名称

・土木施設の名称、規模(延長等)

・電気施設の名称、規模(延長等)
上水道及び工業用水道部門 ・水道の名称、種類

・水道施設の種類、名称

・構造物の種類、名称、規模(径、延長、高さ等)
下水道部門 ・下水道の名称、排除区分

・下水処理施設の種類、名称

・構造物の種類、名称、規模(径、延長、高さ等)
農業土木部門 ・かんがい施設の名称、規模(延長、高さ等)
森林土木部門 ・治山施設の種類、名称、規模(延長、高さ等)

・林道の名称(種類)、規模(延長、幅員等)
水産土木部門 ・漁港の名称

・漁港施設の名称、規模(延長等)

・漁港海岸の名称

・漁港海岸の海岸保全施設の名称、規模(延長等)
廃棄物部門・廃棄物処理施設の名称、規模(処理面積、処理容量等)
造園部門 ・公園・緑地等の種類、名称、規模(面積等)
都市計画及び地方計画部門 ・調査・計画等の種類、名称、規模(面積等)
地質部門 ・地質調査の種類、名称、規模(数量、深度)
土質及び基礎部門 ・構造物の種類、名称、規模(延長、高さ、材質等)
鋼構造及びコンクリート部門・構造物の種類、名称、規模(延長、高さ、材質等)
トンネル部門 ・トンネルの種類、名称、規模(延長、幅員、高さ等)

・構造物の種類、名称、規模(延長、高さ、材質等)
施工計画、施工設備及び積算部門 ・構造物の種類、名称、規模(延長、高さ等)

・構造物の施工計画・施工方法に係る検討内容
建設環境部門・調査・計画等の種類、名称、規模(面積等)
機械部門 ・機械設備の種類、名称、規模(延長、幅員、高さ等)
電気電子部門 ・電気通信施設・設備の種類、名称、規模(延長、高さ等)

 

ただし、上記表を参考にして諸元や規格・施工方法等を記載した場合であっても認められないケースがあります。

具体的には以下の5点が挙げられます。

  • 申請した部門の実務経験が不十分であったり確認できないケース 
  • 申請した部門の実務経験が単純で軽微な業務における十分な技術的内容を含んでいないケース 
  • 申請した部門の実務経験が複数年にわたる長期の実務経験をまとめて記載しているケース
  • 申請した部門の実務経験が業務の規模や契約金額と比較して実務経験年数が極端に長いケース 
  • 申請した部門の実務経験がその期間の全てを専らその業務に従事していたと判断できないケース

 

上記に該当する場合は、適正な実務経験として認めない、もしくは申請された実務経験年数を低減して評価する場合があるので留意してください。 

 

 

実績

 

 

まとめ 

建設コンサルタントにおける「技術管理者認定制度」とは、どんな制度か理解できたでしょうか?

技術管理者認定制度を正しく理解し、本記事を通して、申請方法を正しく把握する参考にしていただけますと幸いです。 

 

 

 

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